大きな転換点を迎えそうなユーロ
ユーロのデフレ圧力が止まらず、いわゆる「マイナス金利」導入を含むさまざまな政策をやってきたECBがさらなる量的緩和に踏み切ることが予想されています。今のところ、市場では「国債のECB買い入れ」をやるというかその手段の採用に追い込まれるという見方が主流です。これまでカバードボンドなどを含む民間資産の買い入れで量的緩和に対応してきましたが、もはや物がなくなりつつあり、1-3月にもユーロ参加国の国債買い入れによる量的緩和に追い込まれるのではとみられています。
従来から議論されていることですが、国債をECBが買ってしまうことについては理念的な問題が大きいとされます。特にある特定国の国債を買うことはEU条約の禁じる特定国への財政支援と理解されかねないからです。したがって国債を買うにしてもいわゆる加盟国すべての国債について発行総額や出資額に応じた「バスケット」で買ってしまうという案が一般に有力視されています。
ところが先週にドイツの週刊誌が、メルケル首相の意向として、ギリシャ総選挙が緊縮に反対する政策を掲げる野党の勝利に終わった場合(つまりギリシャが緊縮政策を捨てる場合)にはギリシャへのユーロ離脱を容認する(つまり支援をおこなわない)との政府筋の情報を報じました。
ギリシャの総選挙は1月25日であり、この結果次第でECBの国債買い入れのやり方にも影響が出てしまうという可能性が出てきました。つまり、野党が勝って緊縮政策が取り下げられると考えられユーロ離脱が現実味を帯びるとなると、その状態でECBが(明らかに信用が毀損する)ギリシャ国債を買うというのはどう見ても「まずい」わけです。つまり総選挙で野党が勝った瞬間に、ギリシャのCDSスプレッドがぶっ飛んでしまう可能性を否定できないわけです。もうかなりぶっ飛んでますが、第一次のギリシャ危機のピークからはまだまだ低レベルといえます。
もちろん、すでにギリシャ国債はほとんど民間では保有されていないことは救いです。デフォルトしても市場に与える影響は少ない(もちろんECBに与える影響は大きいですが、そこはECBの信用力で吸収?)ともいえるのですが、やはり救済するつもりがないならギリシャの国債を新たに買うことができないのは明白です。また逆にバスケットで買うこと自体、ギリシャを救済するというメッセージになるからです。それはドイツが本当に上記のような方針をもっているなら、やはり難しいこととなります。結局のところ上記のようなリークの内容とギリシャ総選挙の結果予想とを組み合わせると、国債買い入れが難しくなっている、あるいは買い入れを難しくさせた、ということを意味します。
今のところドイツは公式には上記のようなギリシャ離脱容認の方針を認めていません。しかしこの段階で上記のようなリークが出てきたこと自体、国債買い入れそのものに対するドイツの根強い反対がそうさせたものと直観で思ったのですがちがいますかね?
但し、国債買い入れをやらないと量的緩和が非常に困難であるということも事実なので、もしかしたら今後ウルトラCがあるのかもしれませんが、最後は無理やりなし崩し的に国債買い入れを実行して現状維持(問題の先送り)をやるのかなぁとは思っています。
ややこしいことに、ユーロを「離脱する」手続きは条約などで定められていません。つまりユーロは参加国が離脱することを想定していない。ユーロ離脱はEUからの離脱ということしかありません。初めてEUを離脱する国が出るということが現実味を帯びるわけです。このことは、もともと斜に構えていた英国の行動にも影響を与えかねません。ユーロを出ていくということ自体かなり技術的にはハードルが高いと考えられます。やはり理念先行で浮かれて政治(財政)統合を伴わない共通通貨を作ってしまったユーロの設計ミスは、統一通貨の便益のかなりの部分をデフレや格差拡大などで打ち消す形で、欧州にとっての大きな後悔になっているのではないか、と思う次第です。
従来から議論されていることですが、国債をECBが買ってしまうことについては理念的な問題が大きいとされます。特にある特定国の国債を買うことはEU条約の禁じる特定国への財政支援と理解されかねないからです。したがって国債を買うにしてもいわゆる加盟国すべての国債について発行総額や出資額に応じた「バスケット」で買ってしまうという案が一般に有力視されています。
ところが先週にドイツの週刊誌が、メルケル首相の意向として、ギリシャ総選挙が緊縮に反対する政策を掲げる野党の勝利に終わった場合(つまりギリシャが緊縮政策を捨てる場合)にはギリシャへのユーロ離脱を容認する(つまり支援をおこなわない)との政府筋の情報を報じました。
ギリシャの総選挙は1月25日であり、この結果次第でECBの国債買い入れのやり方にも影響が出てしまうという可能性が出てきました。つまり、野党が勝って緊縮政策が取り下げられると考えられユーロ離脱が現実味を帯びるとなると、その状態でECBが(明らかに信用が毀損する)ギリシャ国債を買うというのはどう見ても「まずい」わけです。つまり総選挙で野党が勝った瞬間に、ギリシャのCDSスプレッドがぶっ飛んでしまう可能性を否定できないわけです。もうかなりぶっ飛んでますが、第一次のギリシャ危機のピークからはまだまだ低レベルといえます。
もちろん、すでにギリシャ国債はほとんど民間では保有されていないことは救いです。デフォルトしても市場に与える影響は少ない(もちろんECBに与える影響は大きいですが、そこはECBの信用力で吸収?)ともいえるのですが、やはり救済するつもりがないならギリシャの国債を新たに買うことができないのは明白です。また逆にバスケットで買うこと自体、ギリシャを救済するというメッセージになるからです。それはドイツが本当に上記のような方針をもっているなら、やはり難しいこととなります。結局のところ上記のようなリークの内容とギリシャ総選挙の結果予想とを組み合わせると、国債買い入れが難しくなっている、あるいは買い入れを難しくさせた、ということを意味します。
今のところドイツは公式には上記のようなギリシャ離脱容認の方針を認めていません。しかしこの段階で上記のようなリークが出てきたこと自体、国債買い入れそのものに対するドイツの根強い反対がそうさせたものと直観で思ったのですがちがいますかね?
但し、国債買い入れをやらないと量的緩和が非常に困難であるということも事実なので、もしかしたら今後ウルトラCがあるのかもしれませんが、最後は無理やりなし崩し的に国債買い入れを実行して現状維持(問題の先送り)をやるのかなぁとは思っています。
ややこしいことに、ユーロを「離脱する」手続きは条約などで定められていません。つまりユーロは参加国が離脱することを想定していない。ユーロ離脱はEUからの離脱ということしかありません。初めてEUを離脱する国が出るということが現実味を帯びるわけです。このことは、もともと斜に構えていた英国の行動にも影響を与えかねません。ユーロを出ていくということ自体かなり技術的にはハードルが高いと考えられます。やはり理念先行で浮かれて政治(財政)統合を伴わない共通通貨を作ってしまったユーロの設計ミスは、統一通貨の便益のかなりの部分をデフレや格差拡大などで打ち消す形で、欧州にとっての大きな後悔になっているのではないか、と思う次第です。
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