パッシブ投資家の議決権行使(本日の「大機小機」(日経))


また、非常に挑戦的なタイトルなのでついつい読んでしまいましたが、内容は株式発行企業側の方からの意見です。要旨としては、パッシブ投資家なんてものはろくに企業調査もせずまた個別企業にほとんどコミットメントも持たないんだから、議決権行使という余計な「口出し」はするな、というように読めました。

企業側から見た立場としてわからないわけではないもののどう見てもやや乱暴な意見だし、「投資家は議決権行使を権利とみなしがちではあるが」といったやや無理筋の(どうみてもそれは権利なんですけれど)表現もあり、突っ込みどころは多いのですが、ワタクシが常々言っている(今の金融庁さんの考え方を前提として「対話」だの「エンゲージメント」だの「議決権行使結果の開示だのきちんとやるべきだ」とするなら)パッシブ投資家(あるいはパッシブファンドを運用する運用機関)はアクティブ投資家以上にしっかりと企業を精査し対話をしなければパッシブを続ける資格はない、という考え方の一種の「対偶命題」にあたると思います。この筆者(「猪突」氏)とワタクシの主張は、今のままのパッシブで調査コストを払わず議決権もスルーして対話もしないままウェイトに応じて保有することは社会的な非厚生を招きかねないし長期的な経済にもマイナスになるということであり、結論として今のままのパッシブはあまりよろしくない存在であるという点で一致しているからです。
もちろんパッシブと言ってもスマートベータ型指数もありますから、一概に全く企業を調べてないとは言いませんが、それでも「指数」である以上かなり機械的に選ばれるのであり、また指数に対するパッシブである以上大きなウェイトの銘柄が「売れない」ケースは多いので、やはり(少なくとも今の金融庁さんの考え方や国策を前提とする限り)目的を持った対話をして内部から企業を良くしていく努力は(一種の安定株主である)パッシブさんが積極的にガバナンスを効かせるべき話です。

本日の大機小機では指数パッシブの投資家が「情報もコミットメントも持たない」ことが前提とされていますが、逆に5月に改訂されたスチュワードシップコードではパッシブについてもより踏み込んだスチュワードシップ行動が期待されていることが明確となっていますから、ある程度は変わってくると思います。しかし、保有の規模からしてかなり踏み込んだ(小さなアクティブ運用会社をはるかに超えるレベルでの)対話と議決権行使が求められます。まあ大きなところはそのコストを払ってでもペイするかもしれませんが、やはりいろいろと考えてみますと、持合い株主なんかを除いた年金基金やどの一般的な純粋なアセットオーナーや運用機関を含む機関投資家については、もともと対話とかそういうことを強制する事自体が無理筋だったのではないか、という気がしてなりません。まあ本当の意味で対話しろとどうしてもいうなら、200bpぐらいのフィーは普通ですとでも同時に宣言してほしかったですね、金融庁様。

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