厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2018/07/13 06:53   >>

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本日の日経に翻訳記事が記載されていたが、英FT紙のマーティン・ウルフ氏の論説は、最初の一文で今の憂うべき状況を端的に物語っている。
「今、世界一の大国を率いているのは危険な無学者だ。」

トランプ氏の気持ちはわからないでもない。アメリカは人もカネも出して世界の安全保障に貢献しているがほかの国はそれにタダ乗りしている。しかも一部の国は貿易黒字を貯め込んで、アメリカは双子の赤字に苦しんでいる。アメリカの中で貧しい人々がいるのは全部外国のせいだ。こういう風に言うことで、自分の支持を高めて、名誉欲を掻き立てているのだ。彼の場合さらにたちが悪いのは、実際大統領になる覚悟も意思もなかったのではないか、と思われる点だ。カネはあったから、まあたとえは悪いがドクター中松やマック赤坂氏みたいな感じで選挙戦で好き放題いうこと、そしてそれによって知名度を高めることが楽しみだったのではないか。
ところが、時代はそれをはるかに超えていて、結果的に大統領になってしまった。その結果かれは選挙戦で言いまくった乱暴で考えの足りない施策を実行せざるを得ない羽目になった。今に至る、である。

世界最大の軍事力とGDPを誇る国の大統領である。その立場にある人間としての言動のなんと軽いことか。なんと子供じみていることか。残念ながら、この大統領はアメリカ市民の多数決によって選ばれた。つまりアメリカ市民そのものの代表である。アメリカ市民がもはや世界の覇権国としての責任ある立場と気概を放棄しているということに他ならない。まあそれは構わない。アメリカも一つの国である。なぜほかの地域や国のことを考えなければならないのか、と改めて問われると、第二次世界大戦終了から70年以上たってしまった今、その戦後体制の遺物ともいうべきアメリカ中心の世界秩序が持ちこたえられなくなってきているというのも事実だろう。
恐らく、関税の問題も、NATOの問題も、さらに言えばパリ協定からの脱退やエルサレムへの大使館移転も、大げさに言えばこうした戦後秩序にアメリカ自身が異議を唱えアメリカはこれから世界秩序に対し無関心であると宣言しているわけで、まさにアメリカ第一主義ということである。しかも、このアメリカ第一主義が、誤解を恐れずに言うと父性型の第一主義(力を示すことでお山の大将になるようなパターン)ではなく母性型の第一主義(とにかく家庭が大事で子供だけはしっかり守るような)に転換しつつある点が今後の世界にとっての大きなリスクである。近所のお山の大将でガキ社会の秩序のトップだった青年が結婚していきなりマイホームパパとなり、毎日家と会社の往復だけでお給料をおうちに入れる事だけを考え始めたような感覚を持つ。

問題は、こうした世界秩序の転換点において、トランプ氏の一連の行為がある特定の国を利するようになっていることだ。言うまでもなくロシアである。もともと誕生の段階でのロシアの関与は噂されており、実際に人的結びつきはいろいろなところで確認されている。今やっていることも、関税を発端とした貿易戦争は米国と中国の国力をお互いに弱らせることでもう一つの大国であるロシアを利する。NATOやG7における不協和音は言うまでもない。とりわけNATOはロシアがウクライナなどで領土的野心を露骨にしている中での不協和音である。ぶっちゃけた話アメリカ中心で一枚岩とならないNATOなどロシアから見たらかなり甘くみられるのだろう。欧州はもちろん場合によっては中東にもこれからロシアの影響力が強化されていく可能性があるだろう。

貿易戦争は、まあまだどこかで折り合うことを祈るが、世界経済に壊滅的な影響を及ぼしかねない。米国の中でも、輸入物価が値上がりする結果、アメリカの物価が上昇し、一方で物が海外で売れなくなる結果スタグフレーションが発生するだろう。アメリカを市場としてきたアジアの国々では、景気の落ち込みが心配され、世界同時不況となる可能性がある。アメリカは食糧自給率はカロリーベースで100%を大きく超えているので、国民を飢えさせることはないとか高をくくっているかもしれない。しかし、その考え方は鎖国であり、最大の経済規模の国が鎖国するというモデルはこれまでの経済学の考え方を大きく変えてしまう。

上記の記事の表現をもう一つ引用させてもらうと、
「トランプ氏が実際にしているのは2歳児のように明確な目的もないまま既存の仕組みを壊しているだけだ」。
まあそういう風にみえる。更に困るのは、そこまで思いが及んでいるのかどうかも分からないが、旧西側同盟国をないがしろにしつつロシアを明確に利する政策を採っていることであり、米国の事実上の覇権がトランプ氏の手によって消滅しつつあるということだ。

もちろんトランプ氏の任期は最大で8年だが結局アメリカ国民がもはやこれまでのアメリカの地位は不要だという異議申し立てを行っているのであれば、じわじわとアメリカの覇権国家的な地位はなくなっていくであろう。かつても書いたように覇権国家的地位と基軸通貨的地位は同じ次元の話なので、一旦貿易が縮小した場合、ドルが決済通貨としていつまで優越的な地位を占め続けるのかも疑問である(もちろん10年単位の話だが)。貿易赤字が今回のような形で無理やり修正を加えられるとすると、反対側の黒字の先にある米国債の買いも修正がくわえられることになる。基軸通貨性をバックに担保されていた米国の事実上の無制限な信用力にも傷がつくだろう。

いずれにしても、感覚的には、このままトランプ氏が子供じみたふるまいをさらに重ねていくことで、金融市場における臨界点が意外に早い段階で訪れるように思えてならない。

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