厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 金融政策の変更?

<<   作成日時 : 2018/07/31 18:20   >>

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本日の日銀政策決定会合での結果は概ね市場の期待に応えた部分があるものの、良く見てみるとなんだかよくわからない感じになってしまいました。

変化のポイントは大きく分けて三つ
一つ目は、短期金利のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するようするというイールドカーブコントロール(YCC)の目標値そのものは変更しなかったが、「その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし」たこと。具体的には総裁記者会見で、許容される変動幅を「従来の倍」(黒田さん)に広げたということです。また「ニマイ、ニバイ」の●八真綿ですね。
まあ、これはマーケットがある程度予想していた内容ですが、そもそもどの範囲で具体的にやるかは2016年6月にYCCを打ち出した時には公にしておらず、だから最初はまあ市場関係者は大体0.10%までだろうとかいろいろ予測して日銀もまあそういう常識的な線で指値オペを売ってきてめでたしめでたしだったのですが、今回は初めからかなり明確にレンジを言ってしまっている。この辺、かなり苦心の跡が見られますね。総裁は記者会見で「国債市場の機能を改善させるため」と言っていることで逆に、レンジを全く言わないのは「上下にある程度変動し得るもの」という文言をわざわざ入れた以上余計なボラティリティを生み出してしまうリスクを呼び起こしかねないので、あえて明確にしたのか?とは思います。ただ、この辺はオペレーションの次元の話であって、いろいろ考え方はあろうかと思いますがこういうあいまいな文言はディレクティブに入れるべきか個人的にはかなり疑問なわけで、その意味では反対意見(原田委員:「長期金利が上下位にある程度変動し得るものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎる」)のほうがワタクシとしては逆に納得感はありましたね。記者会見で「オペのやり方については変動幅を二倍ぐらいにして市場実勢も反映しやすいようにいろいろ工夫していく」みたいにしてばらしたほうがよかったのかもしれません。

二つ目は、マイナス金利が適用される「政策金利残高」を減少させること。おさらいですが、日銀当座預金は3つの階層に分かれていて、基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高に分かれます。このうち基礎残高(過去一定期間の超過準備の平残)には0.1%のプラス金利が、マクロ加算残高(所要準備額に貸出支援基金および被災地金融機関支援オペなど特別なプログラムでゼロ金利で銀行に貸し出す残高、プラス日銀が一定率により適宜加算する金額)にはゼロ金利が適用されます。残る政策金利残高とは日銀当座預金残高から基礎残高、マクロ加算残高を引いた残りということになります。この政策金利残高にはマイナス0.1%の金利が適用されるということです。そして今回政策金利残高を減らすやり方としてマクロ加算残高の計算に含まれる「一定率」を引き上げた。具体的には準備預金積み期間の平残に掛ける一定率を30.5%から33%に引き上げた。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731g.pdf
結果的にこれにより引き算である政策金利残高が減ることになります。
ただ、この点はマイナス金利政策の枠組みの変更ではなく、銀行のマイナス収益を減らすことぐらいしか効果はないのではないかと思われます。

もう一つはETFの買い方の変更。ワタクシは日銀によるETFの大量買いこそが現在の金融政策の最大の問題点だと思っています。前にも書きましたがこれは誰もまともな出口が想定できないまま日銀が実質的に日本企業の大株主になりつつあり、非常にまずいと思います。日経平均やJPX400などの買いのウェイトを下げ、TOPIX連動ETFの買いを増やすというのは、一応変化のシグナルとはなりますが、逆に中小型が多く含まれるTOPIXをさらに買い続ければ、やはり問題は別の形では出てくるかもしれませんし、そもそも根本的な問題に対する対応ではない。その意味で今回あえて買い入れ額を「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から」「市場の状況に応じて」「上下に変動し得るものとする」と述べた点は当該資産に関して言えば若干テーパーリングの方向に向かったといえると思います。上下にとは書いてありますが、昨今の副作用論に一定の配慮を払ったのは明らかで、上は多分よほどのことがないとやらないで、下振れさせる方向をイメージしているではないかと思います(もちろん急落時の買い支えに使われる可能性はありますが)。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180731h.pdf

それにしても、今回は「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」となっているけれど、実質的金融緩和そのものとしてはっきりとそれとわかる「強化」はどこにもありません。そもそも金融政策の変更というよりまさに枠組みの「持続性を強化」した(窮屈さを少し取り外した)だけであり、そのこと自体は評価できると思いますが、本質(物価目標が妥当な水準かどうか)(マネタリーベースの増加が物価安定の目標に近づく手段として妥当かどうか)に全く切り込まないまま小手先のオペレーション変更を市場の声に押されてやってしまった結果、ディレクティブに妙な表現が入る結果となったり、タイトルが完全に目くらまし状態だったり、なんだかなぁと思ってしまいました。まあそれでも日銀もいろいろ考えているんだなぁということだけでもわかって大変うれしかったです。

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