桜を見る会の問題と政局

桜を見る会が炎上しており、来年度は中止に追い込まれています。ワタクシなりの結論は、法律に違反したかどうかはグレーに近い白だけれど、実質的にはそれよりも悪質、ということです。もちろん主語は安倍首相です。色々な意見があります。この程度のこと、とか前からやってきたのに今更問題にするのはおかしいとか、いろいろ野党の対応も批判されていますが、ワタクシの意見としては、やはりおかしいものはおかしい。金額の多寡とか問題になった時期とか、たしかに「ためにする議論」みたいな部分がないとは言いませんが、やはり根っこのところに公職選挙法とか政治資金規正法とか大臣辞任に追い込まれた例もあるような事例に近いとも思えるので、さてどこまでが問題がなくてどこからが問題なのか、そこをはっきりしておく必要はあるのではないでしょうか。特に首相ですからね。

論点は大きく分けて二つ。招待者の選び方や、その選ばれた人々に対して供与する飲食などについて、何らかの法律違反的な要素はないのか?が一つ。もう一つは、安倍首相になって急速に拡大し予算を無視することが常態化していること。予算というのはそもそも法律ですからね。仮に細かいところは後から修正できるとしても、予算が毎年変わらない中で、明らかに守る気もないイベントをやり続けていること自体、行政のトップとしてどうなのよ、ということです。

公職選挙法では、選挙区の有権者に議員などが自費で色々な饗応とかやったらダメだし、厳密には年賀状とか挨拶状もダメ(実際はやっている人が多いとも聞きますが)。今回は首相が公費でやっているある程度過去から繋がっている会でもあるので、まあある程度のいいわけができそうですが、それでも安倍首相になってから招待客が約80%増えたことや、どう見ても後援会の人々がたくさん入っていること、等を考えると極めてグレーな事案だと思います。というか、法律の想定する「イケナいこと」の範疇をむしろ超えてしまっている可能性があります。厳密には法律違反じゃなくても、自分の人気取りのために公費を使って遊びのイベントを行うのは、国のトップとしてやはりいかがなものかと思うわけです。

もう一点の問題、継続的な予算オーバーについても、上記のような招待客の急増が原因ですから、やはり招待客の実態についての説明責任はあると思います。金額がたかだか5000万円とか言っている人がいますが、第一の論点もふくめてこれは政治家としての資質にかかわる問題ですし、そもそも選挙違反以上にたちの悪い、政治家が公金による自己利益の実現みたいな部分を問題にしているわけなんですよ。選挙区の地元に不要不急のダムや道路を作るみたいな話と同じといえばそれまでですが、公共工事はまだそれでもいろいろ言い訳ができる。地元選挙民に対する公費での飲み食いやエンターテイメントの提供はどう説明するんでしょうか?そういうことを首相が率先してやっているというところが、金額の多寡ではなく今の政治家特に首相を含む政権トップのレベルの低さを露呈していることになると思います。

いや、ワタクシも、別に桜を見る会自体が悪いと言っているのではないのです。要するに安倍晋三という一衆議院議員で首相までやってらっしゃる方が、地元の選挙民に媚びを売るために、あるいは全体としてずるずると人気取りをするためにこの会を利用しているように見えてしまうことが問題なのです。安倍さん、たしかに「この程度のこと」とあまり深く考えてなかった可能性はあります。しかし政府がこれほどのスピードで翌年の中止と見直しを約束したこと自体が、この問題がいかにヤバいかを物語っているのだと思います。会社の社長が自分への支持をつなぎとめるために大株主に媚びを売るのとはわけが違う。首相の地位の前提は国会議員であることであり、その前提は選挙でえらばれることで、選挙とはそれだけ厳格な公正な制度設計のもとに行われないと、間違った人に大事な政治をやらせてしまう結果になる。民間企業だったら変な社長だったら潰れればいいだけですが、国家の場合変な議員やそれによってえらばれる変な首相は取り返しがつかないことになります。だから少なくとも選出過程は妙なバイアスが働かないようにするために厳格さが求められます。公職選挙法はそういう価値を担保するために作られている。公職選挙法では、挨拶状もだめ、うちわもダメでしょうし、ましてや飲食や旅行の饗応は絶対にアウトだと思います。今回は、お金の出所が税金である分、法律の穴を突いた一層悪質な選挙民買収ということだろうと思います。こういうことを現職の首相が臆面もなくやっていることの重大性を理解できず、やれ金額が大したことないからあげつらうのは貧乏人の僻みだとか、自分は招待されているから問題とする必要がないとか、今頃何を言っているのだとか、そういう問題ではないのだと思っています。

一方で、ここから先は完全な下衆の勘ぐりで、しょうもない陰謀論ですが、もう一つ政局として注目するのは、もともと桜を見る会の問題点は多くの人が指摘していたにもかかわらず、この時期に炎上したことです。あくまで推測ですが、先日の内閣改造で無派閥の菅原氏、河井氏などが入ったことと無関係ではなかったのではないかと思います。経産相を辞任した菅原氏は無派閥ではあるものの、菅官房長官の親衛隊であり「令和の会」を立ち上げています。また法相を辞任した河井氏はやはり菅氏を慕う中堅若手議員の会「向日葵会」を主宰しています。要するに実質的な「菅派」2名が立て続けに辞任を余儀なくされた。しかもその理由が選挙区民に対してメロンやカニを贈ったとか、参院選に出馬した妻の運動員に法定を超える報酬を渡していた疑いを報じられたことなど、要するに公職選挙法にまつわる金がらみです。もともとポスト安倍についてどうなるかいろいろうわさが飛び交う中で、安倍さんと菅さんの関係が微妙になっているというのはよく聞く話です。ご存知のように閣僚ポストは好き嫌い以上に派閥の論理や力関係がものをいう。すでに自民党内で相当な実力を持っている菅官房長官が、次をにらんで自分の「配下」を強引にねじ込んだことも考えられます。これに対し、面白くなかった一派(誰だかわかりませんが)が上記のような公選法関係スキャンダルをばらまいて見事に二人を狙い撃ちにする形で辞任に追い込んだ。
しかし一方でそれに対して快く思わない一派もあり(誰だかわかりませんが)、首相主催の桜を見る会の問題点を、その選挙民への饗応という視点で再構成して、ばらまいたというのが私の見立てです。あくまで印象ですが、菅官房長官が今回の桜を見る会に関しての記者会見でしゃべる釈明などは、説明としてすごく荒っぽい感じがしますし、あえていえばわざと突っ込みどころを見せつつしゃべっているような印象を受けます。

たとえば、招待者名簿について聞かれたら「すぐ廃棄して残っていない」と答えましたが、いまどき手書きで作っているわけもないし、そもそも人数が膨らんでいるってことは、過去の招待者のリストをベースに作っていることが明らかですから、だれがどう見ても「嘘」だと思います。(政権べったりのコメンテーターは自分が毎年招待されていることを自慢してましたけどね)。また、地元の後援会を招いた「前夜祭」について会費と実際にかかりそうな費用との差額を問われても、「会の趣旨などをホテル側と話すことで柔軟に対応いただけると思っている。飲食などは、100人来れば100人分を立食で用意することは常識的にはないのではないか」と述べました。「ホテルの宿泊客に対しては安くしてもらえる」みたいなコメントもありました。前者の説明はまああり得ます。実際フリーフロー形式(飲み放題)でパーティーやる時は、食事を一定人数分オーダーし、ドリンクは実費という仕切りでホテルとやることは多いと思います。ただ、ニューオータニクラスですとやはり半額以下というのはちょっと無理がある。ましてや宿泊客に対する割引はそんなに大きなものにはなりえません。こういう説明をすることで、妙な誤解をしたお客さんがニューオータニに無理難題を吹っかけることがないことを祈るのみです。

話を戻すと、菅官房長官の記者会見における説明が、結構突っ込みどころをあえて残しておられるように感じられて仕方なかったのです。首相も菅さんもいつものように追求しようとする記者に対し「対決」するような勇ましさが感じられません。これは逆に言うと突っ張るとぼろが出る、ということの表れだと思うのです。一部の人はこのネタを下らないといいますが、個人的には首相の座を追われかねない事案だと思いますし、野党が盛り上がるのも良くわかります。そのように持ってきた影の張本人は菅さんではないかというのがワタクシの下衆の勘ぐりです。菅さんが本気でこの問題から政権を守ろうとしていないというふうに見えてしまっています。

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