東証の新市場区分について

新市場区分の概要等について
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
同サマリー
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_sammary.pdf
市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)
https://www.jpx.co.jp/rules-participants/public-comment/detail/d1/nlsgeu0000055nqm-att/nlsgeu0000055nsx.pdf

東京証券取引所では、2022年4月からの開始を想定して現在ある東証1部、2部、マザーズなどの市場の区分を見直し、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する計画を進めています。2020年2月に、金融審議会の市場ワーキンググループの報告書を受けて取りまとめられた内容が上記の最初の「新市場区分の概要等について」、そしてその後、第一次制度改正事項やそれらに対するパブコメなどを経て昨年末に出されたのが最後の第二次制度改正事項です。これに対して2月26日までの期間でパブリックコメントが募集されています。実質的には今年の9月から上場市場の各社の申請が始まるため(特にプライム市場に含まれようとする企業は必ず申請しなければならないため)、残された検討期間はおおくありません。

これらの改革は、主として流動性とガバナンスという視点から現状の企業の上場市場を再編しようとするもので、少なくともこの二つの論点に対しては、プライム市場>スタンダード市場>グロース市場の順になると思われます。(詳しくは各リンク先にある定義をご覧ください)。

概ね現在の1部上場企業がプライム市場に含まれることを想定しているようですが、最大の変更点は「流動性」「コーポレートガバナンス」基準として流通株式のところの基準です。数字の上では現在の流通株式数20000単位以上、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上というのは変わっていませんが、流通株式の定義として、新たな市場区分の基準では「国内の普通銀行、保険会社及び事業法人等(金融機関及び金融商品取引業者以外の法人)が所有する株式については、上場株式数の10%未満を保有する場合であっても、流通株式から除く」こととされました。(但し所有目的が「純投資」であることが大量保有報告書などの記載から明らかである場合を除く)。また役員以外の特別利害関係人が保有する株式について、これまで上場審査の時点で流通株式から除外されてはいたものの上場維持審査では除外されていなかったのが、今後は上場審査基準でも除外対象となります。

実体としてはそれほど大きくないかもしれませんが、特に銀行や保険会社、事業法人などにおける「政策保有」がこれまで一株主10%を超えていなければ除外されなかったものが、比率にかかわらず除外される可能性が出てきたことで、一種の持ち合いに一定の変化が生まれる可能性があるでしょう。

勿論、プライム市場にこだわらなければ35%ではなく25%でいいわけなので楽になりそうですが、やはりどうしても現在の一部上場のうち名の通った企業としてはプライム市場にこだわると思われますので、一定の影響は出るかもしれません。

もう一つ考えておかなければならないのは、昨今の相場付きです。ここのところ基本的にグロース志向の相場が長期にわたって継続しています。おおざっぱに言えば持ち合いや政策保有の多い企業というのは割とバリュー属性の強いところが多いのではないか、というのが感想です。特に株式ポートフォリオの運用が業務の重要な一部となっている例えば保険会社などにおいては、この低金利のもとで株式運用への期待が高まっていることが想定されます。そのなかで自らのポートフォリオが市場から大きく劣後することについて、いろいろ考えるところもあるかもしれず、そういうところはやはりポートフォリオの見直しに着手するところも出てくるでしょう。

そうなれば企業側の利害と機関投資家側の利害が、政策保有解消という形で奇妙に一致してしまうかもしれません。

ワタクシが簡単にいくつかの企業や金融機関にヒアリングしたところでは、現時点でそれほどこのことを真剣に考えているところはないようです。その理由の一つとしてTOPIX自体の構成に原則的な変更を加えないことになっている、ということが挙げられています。ただ、本来の意図ではないにしてもプライム>スタンダードみたいな序列をどうしても意識してしまうとすると、プライムだけの指数のようなものが勝手にできてくる(かつてのJPX400のような)かもしれません。まあJPX400のコケ方をみるとそれほど神経質になる必要もないのかもしれませんが、現在一部上場である国際企業では「まあプライムを目指すことになるんでしょうなぁ」といった感じになりそうです。

もうひとつの側面としては、プライム市場に乗っける場合はこれまで以上にガバナンスの基準が厳しくなる可能性があると思われ、特に独立社外取締役などの増加が求められるところも出てきそうです。

面倒くさがりのワタクシはあまり詳しくは調べていませんが、パッと見てそういう感想を持ったのでメモしておきます。

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