サステナビリティ・リンク債

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-05/QO1PX3DWLU6E01
サステナビリティ・リンク債券が増えているとの事。

サステナビリティ・リンク債とは発行体が一定のサステナビリティ目標(例えばCO2排出量の削減など)を定めてその目標の達成度合いを企業側のペイアウトに反映するものと理解しています。つまり、この記事の例にもあるように、CO2排出量削減目標を達成できなければ支払金利が上昇してしまう、といったペナルティを企業が背負うことで、その目標達成に強いインセンティブを与えようとするものです。

基本的にその気持ちはいいと思うのですが、ちょっと冷静に考えるといくつか疑問が生まれてきます。最大の疑問は、投資家と企業とがサステナビリティ目標に関して利益が相反することです。企業は確かに頑張ってCO2排出量を減らすことで金利を低くできるから頑張ると思います。でも、投資家って、目標達成できない方がたくさん金利もらえるんですよね。ね?欲しくないですか、金利。だから、この債券の投資家に限って言えば、むしろ企業が努力しないで目標達成できないことを願ったりしませんか?ね?同じ発行体でそれだけで金利変わるなら金利ほしいですよね?

もちろん、総合的に見たらちゃんとサステナビリティ目標達成の方向に働くという言い方は可能です。例えば、同じ会社がエクイティを発行していた時、エクイティ投資家としてはもちろん負債コストが安い方が良いに決まっていますから、サステナビリティ・リンク債の金利を安くする方向でのエンゲージメントを行うことが考えられます。つまり、エクイティホルダーとしてちゃんとその辺を監視していくインセンティブが生まれることが考えられます。

また、サステナビリティ・リンク債以外の債券や融資の投資家の立場では、やはり妙な支出が増えることは将来の元利金返済能力に多少は影響するという理屈で、やはり監視するインセンティブが生まれるかもしれません。その意味ではキャピタルストラクチャー全体からみれば、サステナビリティ目標達成の方向でのインセンティブを持つステークホルダーが多くなるという見方もできます。

しかし、更に別の見方をすれば、発行体側の行為によって一部の債権者だけが有利な立場に置かれるという言い方もできるわけで、厳密に言えば債権者平等原則とかネガティブプレッジとかそういう視点で問題視されないのかな、とちょっと思いました。まあきっとその辺はちゃんとケアされているのだろうともいますが、あくまで素人の下衆の勘ぐりということでお許しください。

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