厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

アクセスカウンタ

zoom RSS 近頃の金融庁さま雑感

<<   作成日時 : 2007/02/25 11:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 13 / コメント 2

通勤途中で大きな道路を渡る横断歩道がある。歩行者信号は赤になっていても道路はきわめて見通しがいいし手前と後ろの交差点の信号で完全に車が止まっているのも確認できる。
それでも多く人はわたろうとしない。
もちろん道路交通法ではわたってはいけないのだが、歩行者が信号を守るのは歩行者自身が自動車から身を守るためであるし、行政法規違反など形式犯における守るべき法益としての抽象的危険すら感じられないような状況(どう見ても車が可視的範囲で動いていない)では存在しないとおもうので私はこの信号を特に守ろうとはしていない。(公共の秩序という法益は少なくとも子供がいる前ではありかも・・・)。

金融界では最近熱狂的なコンプライアンスブームといってもいい。日本版SOX法だって、内部統制について業務記述書、マニュアルフローチャート、チェックリストの3点セットが絶対に必要だという解釈がまかり通っているらしい。米国でのやりすぎの反省にたって、日本では既存の図表や書類をできるだけ活用していいことになっているのだが、勝手に担当部門が社内で盛り上がってしまっている。どうもわが国では「書かれたルールを守る」ことが絶対善であり、厳しくしたほうがいい、というマゾ的マインドが醸成されやすいようだ。そのルールの背後にある守るべき利益とか、もしかしたらそのルールの背後になにか隠された企みがあるのではないか、とかいろいろ考えてみることが苦手なように思える。
以前ある地銀の方に聞いたのだが、バーゼルIIのリスク量判定において標準的手法ではなく「先進的手法」を選ぶ中規模地銀がいくつかあり、それに何十億円もかけてシステムを導入したという。ここですっかり忘れられているのは、地方銀行が誰のために商売しているか、ということである。

ただ、対象となっている会社や当事者はそうも言っていられない。日本では金融検査があり金融庁が生殺与奪を握っているといっても過言ではない。したがって、金融庁の考え方や行動パターンにしっかりとあわせていかないと、会社ごと吹っ飛びかねないのである。もっとも金融庁が先進的手法を採用したほうがいいなどといっているわけではない。

保険会社の不払い問題でもともとM・Y社のように意図的に支払い基準を絞って払わないようにしてしまったのはちょっと論外としても、最近は「ミス」によって一部特約を払わなかったものなども再調査するよう金融庁から指示が出ているようだ。新聞によると、4月13日を期限として報告が求められていて、N生命は350万件調べなければならない。性質上手作業でしかできないわけで、N生命は5200人(内内勤4000人)をつかって一気に片をつけようとしている。この件で生命保険会社はもともと自主的に調査することにしていたはずだが、一部会社の反抗的な態度と損害保険会社のあまりのずさんさに金融庁が切れて、「請求のなかったものについて本当に支払わなくてもいいか」を過去5年間にわたってすべてしらみつぶしに調べるよう金融庁の命令が下ったようだ。

これは想像するだに恐ろしい作業量である。請求があって払わないというなら目の前にある書類をもとに判断できるが、請求のない特約について本契約などの請求に使われた医師の書類などを読み込んで再判定するというわけであるから、相当な困難さが予想される。もちろん顧客にとっては良い話だろうが、保険商品が相当ややこしいとしても「請求されていないもの」を見つける作業はちょっと顧客寄りすぎるのかなという印象を受ける。しかも決算期をまたぐ作業であり、内容からみていきなり外部の下請けに出すわけにはいかないため、N生命の例でもわかるようにほとんど内勤職員が対応せざるを得ない。規模の小さい会社にとってはかなりの負担になるだろう。

ただ、ここでいっきに過去の膿を出し切ることは悪いことではない。何事においても日本は外圧がないと動かないことが多いから。金融庁様におかれてはそういう役目を十分に自覚して行動されているようだ。そしてこれは人員的に余裕のある大手と一般的に特約という形をあまりとっていない外資系保険会社に有利に働くはずだ。こういうプロセスを通じて日本の保険市場の再編を進めようとするのなら、ちょっとせこいなぁという気はするけれど。

そのくせ、金融庁は外部調査機関に委託したという形で非常にくだらないアンケート調査を監督下にある保険会社に割り当てているらしい。このアンケートは謝礼つきであるが、内容があまりにくだらないので、将来わたって決して役に立つとは思えないシロモノだそうだ。余計な人件費やコストをかけてこの時期に決められた予算を消化しようとしているのだろうか?私の見立てでは、バブル崩壊期の金融検査に向けて大量採用した人々の仕事がないので、行政処分を乱発して仕事を無理やり作っているのだと感じている。このアンケートなんて、もろにこの時期予算があまって消化のため無理やりやってるのがみえみえだし。こっちのほうが税金の無駄づかいとしてよっぽど検査してほしいんだけれどね。

まあむかしなら犯罪とはならず普通にスルーされていたことが今では大問題になることも多い(セクハラ、いじめ、喫煙など)から時代の変化といえばそれまでだが、全体にみて最近の金融庁様に置かれては妙なバイアスを感じることが多いので、ちょっと気になります。



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(13件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
生命保険とは
生命保険とは、死亡やケガ病気など生活に中で起こりうるリスクを回避するための保険です。生命保険では、死亡するまで または一定の年齢まで設定された金額を支払うことを条件として契約を行います。 ...続きを見る
生命保険でがっちり保障 生命保険情報
2007/02/25 13:16
J-SOXの対応についてご紹介
これから本格的な対応が必要になってくる日本版SOX法の対応に関するブログを紹介します。 ...続きを見る
日本版SOX法ガイド
2007/02/25 21:51
生命保険 払済保険とは
生命保険 払済保険とは 払済保険とは、生命保険料の払い込みを中止するが解約せずに... ...続きを見る
生命保険比較と生命保険見直し
2007/02/26 10:27
前副知事さんと対談させていただきました
岩手県の前副知事の高橋さんと位置コミについて、道路行政について対談させていただきました。 ...続きを見る
建設業は宝の山だ!
2007/02/26 19:25
定期保険
決まった保険期間内に被保険者が死亡または高度障害になった場合、遺族に保険金を残すのが目的です。定期保険の加入は、保障期間を何年にするか、保険金額をいくらにするかが最大のポイントです。保障期間は自分の末子が独立する時までとするのがもっとも一般的のようです。一定期間中の死亡・高度障害のみを保障するもので、満期保険金はなく、解約返戻金はないに等しいので一般的に掛け捨てと呼ばれる代表的な物です。定期保険は、同じ死亡保障を目的とした終身保険、養老保険よりも保険料が安いのが特徴です。ただ... ...続きを見る
生命保険パーフェクトガイド
2007/03/22 17:18
生命保険の加入ポイント
生命保険への加入する目的は、様々あります。子供が小さいので万が一の保障が必要、家... ...続きを見る
お得情報の豆知識
2007/04/26 23:09
定期保険の目的と加入のポイント
決まった保険期間内に被保険者が死亡または高度障害になった場合、遺族に保険金を残す... ...続きを見る
知って得する豆知識
2007/05/03 00:23
生命保険のお申し込みは生命保険契約ナビへ
【生命保険のお申し込みは生命保険契約ナビへ】 複数社から無料見積!生命保険に強いファイナンシャルプランナーをご紹介!ファイナンシャルプランナー(FP)をご存知ですか?ファイナンシャルプランナー(FP)とは生命保険加入や資産運用の知識が豊富な家計のプロです。ファイナンシャルプランナー(FP)は、豊富な知識を活かし、お客様にとって幸せな生活を送るための人生設計を多角的にアドバイスします。「生命保険契約ナビ」はそのファイナンシャルプランナー(FP) を通した生命保険への... ...続きを見る
生命保険比較
2007/05/03 15:12
生命保険・保険証券の読み方
生命保険の保険証券には、主に以下の項目が記載されています。とても重要なことなので... ...続きを見る
知って得する豆知識
2007/05/06 13:06
生命保険会社格付け情報
生命保険会社格付け情報 格付けとは、格付け会社による専門的な調査に基づいて発表されたもので、各社の財務力を一目で分かりやすく示したものです。スタンダード&プアーズ、株式会社格付投資情報センター、株式会社日本格付研究所発表の、日本の生命保険会... ...続きを見る
保険見直し格付け・保険見直し緊急情報
2007/05/20 23:18
●保険見直しの流れ
実際には人それぞれ違うのですが、大枠で考える上で各年代別に保険を上手に見直すポイントをお話しますね。20代  生命保険に初めて加入。ケガや病気に対する保障に重点を置きましょう。 30代  結婚、出産で家族への責任が重くなるため死亡保障を増やす。あわ... ...続きを見る
保険見直し格付け・保険見直し緊急情報
2007/05/28 20:33
生命保険のリスクマネジメントを
現在の流れの早い世の中において個人も企業も社会の発展につれて変化する環境のなかで... ...続きを見る
生命保険の見直し相談もしたり比較も 生命...
2007/06/25 14:50
生命保険の相談なら保険の案内人
保険の仕組みというのは、なかなか一般の人にはわかりづらいものです。また、保険加入のきっかけも知人や友人の紹介など、実際に自分に必要な保障額がいくらかというところまで考えないで加入しているケースがほとんどです。実際に必要な保障額をしっかり考えて無駄のない... ...続きを見る
無料とくとくレストラン
2007/09/17 18:48

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
昔々、NYに住んでたころ、驚いたことの一つは人々が信号を守らないことでした。車が来ないと見るや、一斉にどっと横断し、今度は来た車が(青なのに)止まらざるを得ない、というのもしばしば。私も車が来ないと信号を守らない人間になってしまいました(笑)。金融庁の動きと金融界の対応ではご指摘の内容に同感。際限なきルール厳守の結果、実情にあったリスク管理が見逃される、ないしはルールさえ守ればノープロブレム(そして別の問題発生・副作用を見逃す)の風潮になるのが心配です。
本石町日記
2007/02/27 20:32
本石町さん、いつもどうもありがとうございます。実は私もNYにいたころから信号を守らない人間になってしまいました(笑)。
ルールありきというメンタリティーの集団は、ある意味で金融の世界を牛耳る人々から見れば、非常に御しやすいのかもしれないと思う今日この頃です。
厭債害債
2007/02/28 01:24

コメントする help

ニックネーム
本 文
近頃の金融庁さま雑感 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる