厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 労働市場のオプション的アプローチ(メモです)

<<   作成日時 : 2007/05/19 17:26   >>

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日本は一応正社員になれば終身雇用制度が成り立つので、よほどのことがなければ簡単に首にはならない。一方で自分が望めばよりよい条件のところに転職できる。この片面性は一種のオプション保有のペイオフパターンに似ている。おそらくそのプレミアムに相当するのが日本企業と外資系企業のあいだにある賃金格差といったところに現れるのだろう。つまり割りと簡単に首を切ることを前提に採用する外資系ではオプションではなく現物のポジションに近いのだろう。

オプションであるとするなら、その価格決定要素がいくつかある。まず、原資産価格。たとえば現物株のオプションなら現物株の価格である。オプションは原資産を一定の価格で取得する、あるいは処分する権利であるから、おおむね理論的な行使確率分だけ現資産価格に連動してオプションの価格も変動する。
雇用オプションは企業に対し自分を雇用し続けることを請求する権利(厳密ではないが)と考えられるので、純金銭的側面だけを捉えるとには一定の生涯賃金(厳密な意味で決まってはいないが)を行使価格としたプットオプションといえる。厄介なのは人々が転職するのはお金だけの理由ではないことであるが、先に進まなくなるのでここではその要素は省く。

市場価格はもちろんその従業員の労働の市場価格(転職先での生涯賃金)である。もちろん転職先が同じくらい雇用がセキュアではないこともあるので、そのリスク分を考慮した(そこでまたオプションのプライシングが必要になる)生涯賃金である。

ボラティリティーはオプション価格決定におけるキモであるが、自分の市場価値などそうしょっちゅう値段がつけられないだろう。これは一般に経済成長の度合いによって人材への必要度が伸縮すると考えたら、経済成長率のボラティリティーと考えてよいのでは?
ボラティリティーとは不確実性の大きさでありいわばリスクそのものである。論理的に終身雇用オプションの価値は経済の不確実性が大きいほど高いという、きわめて当然の結論になり、不況時に公務員の人気が高くなるのも当然である。

期間もオプション価値の大きな決定要素である。長ければ長いほど高いわけで、会社に入りたての若い人ほどそのオプションの価値は高い。これによって、終身雇用制度が年功序列と密接に結びつくことが説明できる。つまり若い人ほと与えられた終身雇用オプションのバリューが高いので、他の経済的利益すなわちお給料を低く抑えることでほかの階層とバランスをとらなければならないのである。

通常であれば配当とか金利の要素も入る。配当はさておくとし、ここでは金利=将来における想定減価率と考えて、個人の場合満期まで働くことによる体力、肉体の消耗度の大きさを金利に置き換える。いわゆるモデルにおけるロー(プレミアムの金利感応度)はプレミアムが概念的に捕らえづらいのでちょっとおいといて、そのかわり満期時のいわゆるフォワード価格のディスカウント幅がこの場合の体力肉体消耗度ということになろうか。その意味で、激しい労働を余儀なくされる業界はフォワードディスカウントが激しいのでオプション価格は他の業界に比べ低くなりやすい。こういう業界では一般に初任給を高くしているのは、オプション価格が低いからだという見方もできる。

個人の能力との関係はどうか?能力が低い人はお給料が上がりづらく、当初入ったときに一応予定された平均的な生涯賃金という行使価格からその後大きく乖離せず市場価格がATM(アットザマネー=行使価格とおなじ)付近をうろうろする。他の条件が一定の場合、ATMの近辺でオプションの価値はボラティリティーの変化の影響を最も大きく受ける。つまり能力のない人は経済の不確実性に対してもっともリスクが大きくなる。一方能力のある人はさっさと高い給料を取り始めて、当初予定した生涯賃金より市場価格が高くなっているという、プットオプションとしての見方からはOTM(アウトオブザマネー)の状態である。これも当然の帰結だが、こういう人々にとってのオプション価値は低くなり経済変動のボラティリティーの影響も受けづらくなる。

ちょっと休日のつれづれに考えたメモです。余り深く突っ込まないでくださいね。

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