厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 主戦場は欧州へ

<<   作成日時 : 2007/08/14 19:32   >>

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サブプライム問題に端を発したクレジットクランチの被害がじわじわと明らかになってきています。この間のECBの緊急オペ以来、本丸(というか本当の意味でヤバイところ)が欧州である、という認識が共通のものになっているような気がします。

本日もスペインのバンコ・サンタンデールが米国クレジット市場に対して22億ユーロのエクスポージャーを持っているとの報道が流されました。子会社を通じて「サブプライム自動車ローン」なるものをやっていたようです。これなど直ちに流動性危機に結びつくような話でもないのですが、やはり相当神経質になってしまうのはいたし方ありません。こちらの方が書いておられるように、欧州大陸で主流のユニバーサルバンキングによって、投資するエンティティーが本体の銀行ときわめて近いことで、問題が直ちに銀行の問題として捉えられてしまう。この点、アメリカでは投資主体はヘッジファンドなどが中心だから、極論すればつぶせばおしまいで投資した人がアホでしたねで済む(別にマネージャーも首になるだけで済みますし)のですが、欧州の場合銀行の子会社だったりするので、そこでの損失は直ちに銀行のBS・PLに跳ね返るはずです。

となればそういう銀行のクレジットは落ち、クレジットラインが絞られ、信用収縮と資産の回収が進んでしまうというのが今のヨーロッパの問題ではないでしょうか?その意味でECBの資金供給の投入が最も大きいのも納得できますし、本日ユーロが一人で落ちていたのも納得。アメリカのクレジットエクスポージャーでやられている欧州銀行にとって問題なのはドルのファンディングなのです。ところがおそらく米銀などからドルをなかなか貸してもらえない。そこでFRBとECBとの間での通貨スワップをやるという話になりました。FRBに直接ラインのない欧州の銀行はFRBによるドルの流動性供給の恩恵にあずかれません。お互いに通貨を融通しあうことで、ECBが監督下の銀行に対してドルを供給できるというわけです。

アメリカや日本では流動性は落ち着いたように思えます。今すぐに資金を必要とする人は少なくともいなくなったかのようで、日本などでは逆に日銀があわてて資金吸収までやる羽目に。そりゃまあ0.5%が目標の無担翌日物コールがCPI並みのゼロ近傍まで落ちてしまってはあーた、そりゃあわてますでしょ。まさかこれをもって「8月利上げ」なんていう人はあまりいないと思いますけれど(供給も吸収もどう見ても緊急作業としてやってますからね)。

しかしながら、もちろんこれからが本番だろうと思います。流動性供給という手段、しかも翌日物や超短期タームでの供給は所詮その場しのぎで長くは続けられないとも考えられ、最終的利下げに追い込まれるという見方にもそれなりの合理性があります。一方で今回は当局者からこういう事態を招いた当事者たちへの「懲罰的」ニュアンスが感じられるコメントがチョコチョコでていて、私は利下げというのはよほどのことがあった場合の最後の手段になるだろうと思います。むしろ高い金利のまま必要な主体にお金を貸したりしながら(本来はロンバートの出番でしょという意見も結構強いです)、自力での回復を側面支援するだけにとどまるのではないかと思います。

あとは、英国がこれからどうなるかちょっと心配ですね。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
暴走した市場投機の失敗に対し、懲罰的な対応は気持ちは分かりますが、あまり厳しくやると信用収縮が行き過ぎて実体経済に跳ね返り、金融当局も泣きを見る(かつての日本のように)恐れがあるので、まあ慎重に対処して欲しい、と思ったりします。欧州経済も資産価格がバブってますので、信用収縮が資産価格方面に効いてしまうと英国ともども崩壊のリスクが心配だなあ、と余計なことを考えるのですが。気にし過ぎですかね。
 さらに想像を膨らませると、ユーロの先行きを悲観して、ユーロに外準をシフトさせた諸国が金を抜いてしまうと…。あぁ、いくらでも悲観シナリオが浮かんでしまいます。日本経済、そろそろ下り坂?
本石町日記
2007/08/14 21:00
サブプライム自動車ローンって、日本でも最近オリエントコーポレーションさんの子会社がやってますね。そしてオリコも銀行出資だったような・・・。
大丈夫なんでしょうか?
竹内かれん
2007/08/14 21:08
本石町日記さん、どうもです。諸般の事情を考え合わせると、実態は必ずしも良くわからないし危機は回避したいけれど信用バブルをつぶさねば、という意志だけは強く伝わってくるのです。
外準シフトはもうすこし政治的な意味合いがありそうで、そう簡単には元に戻せないと思いますよ。
厭債害債
2007/08/14 23:27
竹内さん、どうもです。たしかみずほ系だったとおもいますが。ただ日本ではサブプライム層というのはすこしアメリカと違うような気がしますが、どうでしょうか?あまり消費者ローンには詳しくないですが、延滞はそれほど増えないような気がしています。
厭債害債
2007/08/14 23:41
ご紹介ありがとうございます。全般に渡り、ご指摘の通りかと思います。引続きよろしくお願いいたします。しかし、出口が見えてこないですね。
Capri
2007/08/16 00:14
Capriさん、ご丁寧にどうもです。今回は時間がかかりそうですね。こちらこそよろしくお願いいたします。
厭債害債
2007/08/16 06:31
いつも興味深く拝見させて頂いております。今日(というか昨日)は大変でした。今日はどうなるのでしょう…。
ところで今、自分が英国在住なので特別な興味を引かれてしまうのですが、最後の
「あとは、英国がこれからどうなるかちょっと心配ですね。」
とは、どのような理由からイギリスの事を特に心配されているのか、ご教示頂けませんでしょうか?
cedia70
2007/08/17 09:28
cedia70さん、コメントありがとうございました。最近、ロシアなどでも流動性不安で本日のFTでもロシア中銀が資金供給したとのニュースがながれていましたが、これらの国や産油国などの過剰流動性に英国のブームが支えられている面があると思って、ちょっと不安になりました。雑な説明で申し訳ありませんが、もしいろいろご存知であれば逆に教えていただけると幸いです。
厭債害債
2007/08/17 23:07

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