厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS ほぐされ始める証券化サブプライム(こちらはまじめな話)

<<   作成日時 : 2007/09/05 20:20   >>

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9月4日に米国では連銀をはじめとする主だった監督官庁が共同発表(Joint Press Release)
を行ったようです。
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/press/bcreg/2007/20070904/attachment.pdf

大まかに言えば、米国の連邦金融監督当局などが管下のモーゲージ証券組成にかかわった金融機関(とりわけサービサー(=実際の住宅ローンのキャッシュフローを束ねたり管理したりする役割の金融機関で最初の直接の貸し手(オリジネーター)が兼ねる事が多い))に対して、証券化のドキュメンテーション上認められる権利を最大限利用してデフォルトしそうな個別の債務者ごとに債務のリストラクチャリングを進めることをencourageするという内容のガイダンスです。

重要なのはこのステートメントがFRB、FDIC(連邦預金保険公社)、OCC(通貨監督庁)、OOTS(住宅金融監督庁)、NCUA(全国信用組合事務局)およびCSBS(州銀行監督会議)といった監督官庁の連名で発出されており、この問題が政治的な強いイニシアティブのもとに置かれていることを印象付けます。

もう一つ重要なのは、このステートメントの中で、SECや財務省の立場に言及し、こうしたリストラによってもともとの証券化による税制のメリットやオフバランス性が損なわれることが無い、ということを保証して安心させていることです。

もちろん、これは「強制」ではないのですが、ステートメントにも書かれているように、こうすることでforeclosureにくらべ損は結局少なくできるのではないか、そしてすべての利害関係者にとってメリットがあるのではないかということです。


以前のエントリーで結局のところ解決は「ほぐす」事しかないのではないか、と書いたと思います。そこでは個別ローンやプールレベルまで降りていって「価格」を発見することが重要だと書きました。今回の案はアプローチは根本的に違う(つまり債務者救済が優先)のですが、個別レベルでほぐすしかないという発想は同じだろうと思います。これについては証券化スキーム上不可能ではないかという指摘もいただきましたが、今回はその困難さを無視しても結局そうせざるを得ない、という感じがする内容のステートメントです。

今回のガイダンスに関する9月5日付のWSJ(オンライン)のGreg IP氏の記事 "Lenders Urged to Help Avoid Foreclosures" には興味深い識者のコメントがありました。それはMargot SaundersさんというNational Consumer Law Centerの弁護士さんですが、これまでは一旦証券化されるともう何もできないという感じだったけれども、最近の学会や立法の流れとしては証券化によって損失の緩和策まで妨げられるものではない、というものであり、今回の監督官庁共同のガイダンスはforeclosureする前に損失緩和策をとる仕事を「投資家やサービサーに転嫁した」のだというのです。

また「全米証券化会議(American Securitization Forum)」という団体のGeorge Miller氏は標準的なアグリーメントに従っても、投資家の最終的な利益になりうるのであればサービサーが証券化されたローンの条件変更なども行えるといっています。

まあまだまだ具体的な事案では困難は多いでしょうが、回り道でもこういうやり方をやっていくことで市場の信頼が回復し、正常なマーケットへ戻る近道になるのではないでしょうか?

(追記)でも良く考えてみたら、これってアメリカの内部的な不良債権を世界中の投資家に付け替えて、しかも国内の借り手は保護されるって言うすごい話なんですよね。


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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
どこまでも米国仕様は米国仕様です。本当にありがとうございま(ry
EURO SELLER
2007/09/06 00:03
>これってアメリカの内部的な不良債権を世界中の投資家に付け替えて

いや、米国は何でも有りだな。
しかし犯人探しは国際問題となるでしょうね。格付け会社が国際化されないとどうにもならんていう議論に成るんでしょうか?
発展途上国の反発も含め、米国のグローバル化の矛盾があらわに成ってますね。どっぷりアメリカにはまり込んだ日本はどうなるのでしょう。
kazzt
2007/09/06 08:52
EURO SELLERさん毎度ありがとうございます。まあどこだってそうしたいのはやまやまでしょうけれど、それができてしまう仕組みづくりという点にかけて、やはりかの国はすごい才能を持っているし、結局のところそれを押し付ける力も持っているということでしょうね。
厭債害債
2007/09/07 12:29
kazztさんどうもです。格付け会社を国際化と行かないまでも多様化すべきだという議論はこれまでにもあったようですが、なかなか実際のノウハウが追いつかない部分もありますね。投資家にとってバーゼル2との関係ではむしろ格付け会社が神様のように見えた(トリプルAのものを山のように作ってくれた)ところもあったのではないでしょうかね。
厭債害債
2007/09/07 12:31
>アメリカの内部的な不良債権を世界中の投資家に付け替えて

これって要するに米国債を買ってる人が損をするってことですか?
hama☆sta
2007/09/09 10:39
hama☆staさん、コメントありがとうございます。長い目で見ればサブプライム問題による不況によって米国の財政赤字が増えて理屈の上では長期金利が上昇するため米国債にはマイナス要因なのですが、現実問題としては、当面安全資産(少なくとも社債よりは安全)である米国債への逃避が増える結果、金利低下(米国債の価格上昇)となりそうです。
ただ、為替に関してはドル安になる可能性が強まっています。
厭債害債
2007/09/09 23:42
なるほど、勉強になります。
資金が株へ動くとか国債へ動くとか、お金の流れって難しいですね。買い物にいったときにいろいろな品物に目移りしてしまうようなものだろうか。。
hama☆sta
2007/09/11 10:48

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