厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 米国政府関係機関の信用度

<<   作成日時 : 2008/05/24 06:49   >>

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ろじゃぁさんがご自身のブログのエントリーでちょっとふれておられたが、22日付の日経の「視界不良の大手銀行」(上)という囲み記事のなかで、大手銀行の今期のサブプライム関連や証券化商品についての開示に関する記述がある。

記事を読んで受ける印象は、書かれた太田編集委員は「米政府機関債残高」を開示していないいくつかの銀行についてはやや不満があるのではないかということだ。おそらく、ファニメなどの政府機関は5兆ドルにのぼるMBS(住宅ローン担保債券)を発行・保証していることが前提にあり、住宅ローンのデフォルトが進むと資産内容が悪化するし、超過資本積立規制が緩和されたりコンフォーミングローンの上限が緩和されたりしているため、現在の住宅市場、住宅ローン市場環境を前提にすると、バランスシートが劣化していく懸念は強い。確かに問題が大きくなる前から見れば現在は例えば連邦抵当金庫(ファニメ)など信用スプレッドは拡大した。もともとライボマイナス20ぐらいだったのが今はライボプラスの水準で取引されるのであり、信用スプレッドは拡大はしている。

しかし、本当にやばくなった米国の民間大手金融機関などがライボプラス3桁以上払っているのに比べたら殆ど影響がないといっていいレベルである。
忘れてはならないのは、これらの住宅ローン市場救済施策が「政府主導」で行われていることである。米国は今回の危機対応策の一環でファニメやフレディマックを使ったローンの買取を積極的に行っているというか行わせているのであって、実はこの動きは数年前に議会で真剣に議論された彼らの特殊権能の縮小に向けた動きと全く逆になっている。そこまでして現在の危機は救わなければならないと政府が意思表示をしている。

となれば、ファニメやフレディマックの信用は現在のところ政府が面倒見るといっているようなものである。あえて乱暴な議論をすれば、今回の問題が起こる前の、政治的なプレシャーにさらされていた時代よりも、彼らの存在は政府に近いものになったがゆえに、少なくとも短期のデフォルトリスクは相対的に減ったと考えられないか?それが前提にならなければ、彼らはそれらの資産を流動化することが出来ず、パイプはまた詰まってしまう。そうした背景を考えると、ことさら政府機関の残高だけを取り上げて開示が不十分だという論調はリスクを強調しすぎるし、それなら「アメリカの民間銀行」というくくり方のほうがよりよくリスクを開示させることにならないか?米国政府関係機関のエクスポージャーを開示しなかった銀行は、それらがことさらにリスクの高いグループとみなさなかっただけであろうし、其の判断はそれほどおかしいともいえないのではないかと思う。(もちろん開示は悪いことではない)。

なお、記事のなかで更に細かい突っ込みをいれると、開示が必要とされるのは、外貨建だけではない。問題なのは「外貨建て証券化商品」なのではなく、円建ても含む証券化商品である。通常日本の投資家は大手銀行を含みこういった商品は自国通貨建てで購入することが多い。そして信用毀損や流動性喪失による損失の度合いは証券化商品が外貨か円貨かに無関係である。

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何時になったら金融は目覚めるのか
厭債害債さんは金融機関が円建てであっても証券化している債権が金融機関に紛れ込んでいるのかを懸念する。 金融が持つ最大の役割は融資業務であろう。 しかし、信用の置けない相手に貸さないと言うのが日本の金融機関だ。 何の為に金利を取るのかという疑問に、金融機関の姿は自己否定しているように見えて仕方が無い。 融資申請をしてきた相手を値踏みしてその相手に対する金利を決めるのがプロとしての姿ではないか。 相手の値踏みは相手が融資した資金をどう運用して利殖し、回収の安全を保全するかで無く、相手... ...続きを見る
よく考えよう
2008/05/24 11:55

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
議会はいつの間にか,FNM,FREを議会の意思で動かせる機関にしようというほどの動きは,5月のHR提案の数々を一目すればわかる. 2GSEが金融機関でありながら,民間金融機関とは資本規制が全く別. MBSによる保証証券, 自己ポートの必要資本はBasel基準とは比べられない低さ. 同じ経済環境に住み,同じ信用リスクをとりながら,どうして資本が必要ないか. basel基準で計算しなおすといくら資本不足かは分かります. 2点目, FNMが保有するAlt-A, subprime, CLTV>90%かつFICO<680のポート額の合計は,IRすら取り上げ注目をうけており,どのくらい巨額かを知らない証券関係者はいない. UBSと同じ基準で評価したら, 20〜30兆円資本毀損.  monolineは保険だから,MTMしない. AA以上であれば,CDSさえも,保証CDOが値下がってもMTMを求められないし,担保コールもない. FNMもシングル保険業. 違う基準の世界で生きている. すでに貸倒率が急増してきたjumboは,Bushの2月景気刺激法に大人の協力で,発表された通り,リスクとっても$10bn
吉行誠
2008/05/24 07:31
アナリストでfinancialに目を通さず、コメントするのを禁じる法はない。fiduciaryで責任など問えないだろう。メディアや一部ブログは、IRに使われて開示されているデータさえデータ一切出さないで(公衆の知る事実なのでその必要がないという判断でしょうけれど)、扇情的に不安を煽り立て、平然とした顔で風評をばらまく。事実を前提にしたうえでの認識法と評価でなければ、それが正しい分析か議論にならない。議会は、信用リスクをとることを2GSEに求めるが、FHAの利用以外には、具体案がでていない。国民負担のコンセンサスがないから、今のところOFHEOが資本規制を緩めて、保有額を増やせるようにしたにすぎない。
資本が足りないって騒ぎたいのか? だったら保証料を上げればいいだろう。文句があるか。
コメントはこちらに。
http://plaza.rakuten.co.jp/555yj/diary/200805140000/#comment
http://plaza.rakuten.co.jp/555yj/diary/200805170000/#comment
吉行誠
2008/05/24 07:50
吉行さん、どうもです。GSEは通常の経済合理性と違う世界で生きていることから、より政治的な判断が必要であろうと思います。もともと政府のやっていたことを民間がやっているだけであり、経済に対する重要性からみて、デフォルトなど到底許容できる存在ではないと考えています。
厭債害債
2008/05/25 12:44

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