厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 英国債入札札割れの恐怖そして管理通貨制度崩壊の足音

<<   作成日時 : 2009/03/30 06:21   >>

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先週行われた英国の40年国債入札で札割れ(応札が予定発行額に満たない)がおきました。現状の金利が低すぎる、つまり将来の国家のファイナンスリスクに対して十分なリスクプレミアムが乗っていない、という市場の評価がそのまま反映されたと見るべきでしょう。国債価格は一瞬急落しましたがなぜかすぐに戻りました。とはいえ、この事実は軽く見るべきではないでしょう。

3月末が近いということや、たまたま同じ日に発表されたインフレの数字が大きかったことが一つの要因であったともいえますが、経常赤字国にとってそのファイナンスの肝ともいうべき国債オークションが札割れになる事態が恒常化すれば、国家のソルベンシーに大きな暗雲が垂れ込めることになります。結果的に長期の市場金利が上がっていくなら、景気回復はますます遠のくことになります。

これを防ぐには、未来永劫にわたってその国が「信用に足りる国」であり、今要求しているリスクプレミアムが実は将来のリスクに比べて過大評価となっていることを示さねばならないと思います。しかしながら、とりわけ欧州諸国ではそれがなかなか示すことが出来ずにいる。それはやはりユーロの桎梏だったり東の問題だったり。いろいろしがらみを抱えるところは大変ですね。

いずれにしても、こういった事態が続けば、必要に迫られての長期金利上昇(リスクプレミアム増大)がおき、同時に自国通貨安に見舞われる可能性があります。そうなれば輸入に頼っている国は大幅なインフレとなり負のスパイラルとなります。通貨の信任が失われてインフレが行き着くところまで行った究極の姿がジンバブエです。
イギリスが話題になってはいますが、ドイツのオークションも結構厳しい状況のようで、いまは世界中で将来の政府債務の状況について漠然とした不安が渦巻いているというのが現状でしょう。

その点、アメリカは、すでに巨額の調達の必要性をおおっぴらにしていてある意味開き直っているので、逆に不確実性が少ないともいえるのですが、こうした状況が維持可能であるためにはやはりその国への信頼が重要です。これまではドルが管理通貨制度の元で基軸通貨であること、つまり事実上世界で通用することが、翻ってドル及び米国への信頼の根拠であったといえます。逆に言えばこの点が崩れるかもしれないと市場が感じたとき、ドルには大きな下落圧力がかかると思います。

昨日ガイトナー財務長官が中国の提案(新たな準備通貨の創設)について”open”であるとコメントした瞬間、ドルは1%以上下落しました。その後きちんと趣旨を説明するコメントを出して事なきを得ましたが、まさにそこが今市場が一番気にしているところであるということを如実に表す出来事でした。中国の提案はSDR(Special Drawing Rights=IMFの特別引出権)という一種のバスケット通貨単位(通貨ではない)をベースにした新たな準備通貨制度の創設ですが、貿易量や外貨準備の大きさに比例したものとなり、単一のドル本位制とはまったく異なる姿になる。少なくともドルだけ持っていればよいという時代ではなくなることを意味します。

いろいろ世の中が変わりつつ足音が聞こえる今日この頃です。

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
私の記憶では、去年の夏くらいから米ドルと米国債の同時暴落説が経済誌などでしばしば取りざたされるようになったと思います。
私もそれらを読んで、かなりありえそうな話だと思い、所有していた米国債を11月頃までにすべて売り切ってしまいました。
その後逆に米国債は大きく上昇したので、見事に涙目となりました。更に先日のFRBによる国債買い取りで、自分の先見性のなさに追い討ちがかかっているところです
可能性としてはともかく、本当に欧米先進国の国債の暴落という事態が有り得るのでしょうか?よほど大量発行されている日本国債が淡々と消化されていることからも、かなり杞憂に近いのではないか?と思えてしまいますが・・・
39歳無職
2009/03/30 07:42
SF作家の新城カズマさん(この方は僕も及ばないくらい経済に詳しいです)のブログで、中国の提案とそれに続く動きについて追っかけていますね。それにしてもいろんな国の思惑がうごめいてますねえ。

「バンコール2.0はいかが?」と中国人民銀行総裁は言った - 散歩男爵 Baron de Flaneur (Art Plod版)
http://d.hatena.ne.jp/sinjowkazma/20090325/1237960239
Baatarism
2009/03/30 12:35
一度専門家のお話を伺いたいと思っています。

米国はこれから700兆円もの国債を発行しますが、買い手はいないのでFRBが買います。即ち輪転機のフル回転です。

これでドル暴落、ハイパーインフレを唱える人が多いのですが、実際はどうなんでしょうか?

貿易決済にドルが必要、ファンドが新興国で手仕舞いして、ドルに換金して本国に送金でドルが必要。

極めつけは米国の対外債務2000兆円(純債務ではありません)を持つ諸外国が、これはまずいと考えドルに換金でドルが必要。

これだけ需要があれば、そう簡単にはドル暴落は無いと思うのですが。

もちろんこれらが一段落すれば、ドル暴落、ハイパーインフレでしょうが?

Eishin
2009/03/30 12:46
で一部に場合おもしろおかしい。マー昔のJGBですね。今回の場合、世界経済が終わっちまうので、笑い事ではないので、みんな馬鹿じゃねけりゃありえない。あなたどっちにかけます。というかそうなったらこんなところでコメントする奴はいなくなるでしょう。
また出たGB暴落議論
2009/03/30 23:30
39歳無職さん、どうもです。この問題は時間軸をどう見るかということです。信頼感が続く限りは同じことを繰り返してまた元の姿に戻ったように見せることはできると思いますし、それは5年や10年では変わらないかもしれません。今回のドルの必要供給額はやはり巨大であり、それが最終的にきちんと収まるべきところに収まるのか、というところに注目したいと思います。
厭債害債
2009/04/01 06:02
Baatarismさん、コメント並びに情報ありがとうございます。今回の危機は中国、欧州その他で政治的なうごきに結びつきそうな予感がします。

Eishinさんどうもです。これも時間軸の問題だろうと思います。当面はおっしゃる通りそのようなドル需要が多いのでドルが堅調であり、実際そうなっていることは現実のとおりです。

また出たGB暴落議論さんどうもです。おっしゃる通りですが、海外資金に頼っている国に関しては、信頼と強制的に資金を還流させる仕組みの維持は命綱でしょう。
厭債害債
2009/04/01 06:12
だからプロッサー総裁はよく出口戦略を説きますよね。未来永劫の輪転機フル稼働はないのですから…
EURO SELLER
2009/04/01 21:42
すみません。英国の話ですよね。確かにウィンブルトン現象なんて昔から言われてましたね。でも最後英連邦の国々が女王陛下のためにはせ参じてなんてないでしょうね。末期の室町幕府ですか。
また出たGB暴落議論
2009/04/01 23:44
EURO SELLERさんどうもです。最近は金利が少し反応し始めたようですね。

また出たGB暴落議論さんどうもです。そういうことが起きればそれはそれで面白いと思いますが・・・。イギリスのウィンブルドン現象とはつまるところ経済の金融特化ということではなかったかと思います。
厭債害債
2009/04/06 05:32
タックスヘイブンを止められたんだから、イギリスは確実に飛びますよ。
どいかさま繰り返したんだから10年くらいは地獄を見てもらいましょね。

でも、アメリカはしぶといんじゃ無いですかね。
リバタリアンやプログマティズムを前提にするなら、アメリカ一極主義は矛盾ですから、
ドル覇権を出来るだけ混乱無く降りる努力をする知性くらいはあると思いますね。
そのことを期待して一応ドルは安定的に多極化に移行を目指すのでは無いかと思うんですけど・・・
kazzt
2009/04/08 00:21
kazztさんどうもです。個人的にはtax havenはまだ完全に止められていないと思います。ていうか、本当にケイマンとかジャージーとか止めたらAIG破たんクラスのショックが世界を襲うでしょう。またアメリカが自国への負担を軽くしたいと思っているのはその通りでしょうが、それによって得られてきた便益を放棄できるでしょうか?結構痛いかもしれないと思います。
厭債害債
2009/04/10 04:38

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