厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

アクセスカウンタ

zoom RSS NY Fedダドレー総裁のインタビュー

<<   作成日時 : 2009/06/07 13:14   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 11 / トラックバック 2 / コメント 4

取引先の人から教えていただいたのですが、The Economistに掲載されていました。
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=13768746
「量的緩和」と出口政策についてですがなかなか正直で面白いです。

米国債金利の最近の上昇の原因について、まず第一に基本的な景気認識として、日本風のデフレシナリオの可能性を排除しつつある、と述べています。ついで住宅ローン(モーゲージ)金利の上昇がデュレーションの上昇を伴い市場に影響したことをあげています。第三の理由として、今回の一連の緩和策に対する出口に不安を覚えることでインフレ圧力が想像されるからだと言っています。
ただ、インフレ連動債やサーベイから見る限り期待インフレに問題はそれほどないとも述べています。

どのような状況や条件で連銀が国債買い切りの増額が可能かという質問に対しては、さまざまな状況を総合的に判断して必要性を判断するといういわば当然の回答です。緩和プログラムの究極の目的はモーゲージ金利を引き下げて借り換えの波を引き起こしていくことで、それは実際に行われた、と言います。政策のゴールはモーゲージ金利の引き下げだけではなく、全般的な回復を促すためのものである、ということです。

金利上昇が景気の回復を反映しているだけであれば、答えは放っておくということだ、まさにそれが我々が望んだところだから、と言っています。金利の具体的なターゲットを決めることは危険であり、市場の見方が当局の見方と異なる時どちらかが間違っているのであって、間違った見方に基づく金利上昇は長続きしない、とも言っています。

買い切り増額の条件としては、MBSの50%以上100%未満を目標としており、金利上昇によってMBSのオリジネーションが減少する限りにおいては、我々は市場の150%のプレーヤーになりたくないため、買い取りを減らすだろうと言っています。

面白いのは次の部分
When we were contemplating Treasury purchases I was afraid people would say it’s monetisation, we’re on the path to be like the Weimar Republic or Zimbabwe. I got more comfortable because the Bank of England announced a programme and there wasn’t any anxiety on that score and the market reacted favourably. And the only way we’d get information about the effectiveness of a Treasury purchase programme was to implement it. So we’re learning by doing.(米国債の買い切りを考えた時、私は人々がこれをマネタイゼーションを呼び、ワイマール共和国(訳注:ハイパーインフレで有名)やジンバブエの道を歩むというのではないかと恐れた。その後英国が買い切り策を発表し、これがその観点での大きな懸念を呼び起こさず市場が好意的に反応したことで、私は気が楽になった。我々が米国債買い切りプログラムの有効性をはかる唯一の方法はやってみることだった。それゆえ我々は「走りながら考えている」(learning by doing)状況だ。)

訳注:大江健三郎さん風に「見る前に跳べ」ってことでしょうかね。

問題の出口問題については次のように述べています。
我々は6ヶ月間3000億ドルの買い切りプログラムを用意したが、期間の終わりにいきなりゼロにしてしまうのが良いとは思えない。(とはいえ国債についてはやめても)財務省にとって大きな問題になるとも思えないし、そもそも我々のシェアは米国債市場全体からみればきわめてわずかだ。MBS市場は違う。我々はMBS市場できわめて大きなポジションをとっている。こちらを突然終了してしまうと金利が大きく上昇し問題が生じる。

インフレを引き起しているのではないかという懸念については、独立した中央銀行としてきちんと行動してきており、市場の信頼を勝ち得うる行動をとる必要があるものの、これまで20年間の実績を見てほしいということです。インフレ懸念などで金利上昇圧力がかかることがあれば、問題がないことを市場との対話を通じて説明する用意があり、コントロールが可能であることを説明する必要があると考えている、と言っています。

FEDのバランスシートをどうやって縮小させるのか、という質問に対しては、絶対額や伸び率を目標に定めることは絶対にしない、と明言しています。流動性供給プログラムの多くは景気逆行型(counter-cyclical)であり、景気が回復すれば自動的に縮小する、と言っています。2007年9月(訳注:リーマンショック)以前の状態を通常と考えれば、我々のバランスシート規模は現在1兆ドルぐらいであったはずで、超過準備がない状態です。一兆ドルを超えかつ超過準備を持つのであればそれを相殺吸収するメカニズムは必要です。総裁は「それほど大きな出口問題はない」と言います。それは超過準備に金利を払うことで、大きなバランスシートに対応できているからということ。昨年秋にFFレートと超過準備金利の差が縮まらなかったのは、いわゆる(FNMAなどの)GSEが主因で、銀行などがその裁定機会を利用しなかったのは、彼らのバランスシート上のコントロールが厳しかったからだと認識している。今後システム不安が解消してくればその裁定機会をとりに行く銀行が増え、縮小に向かうと思われる。
GSEのキャッシュ投資ルールを変更するというのも一つの考えだと述べています。
二番目のチョイスとしてはFEDはリバースレポを通じてBSを維持することが可能であると述べています。ただ、問題は現在のディーラー業界のサイズでそれを支え続けられるかどうかということである、とも述べています。
もう一つのオプションは保有証券を売却することですがその可能性は低いし、そうなると大きなイベントになってしまうので、FEDはこれまでも基本的に「持ちきり」(BUY AND HOLD)であったと述べています。

あとすこしあるんですが、基本的にはこんなところです。
重要なのは、やはり出口についてはあまり深く詰められていないこと、量的緩和はやりながら考えているということ、バランスシート縮小については、あえて楽観的な立場をとっているように思えること。

まあ我々の経験では少なくとも国債買い切りい始めたら終わりはないと思った方がいいでしょうね。

とりあえず備忘メモでした。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 11
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
3月までのアメリカ国債金利安定の理由
厭債害債さんが「NY Fedダドレー総裁のインタビュー」で、次のように紹介されています。 ...続きを見る
労働、社会問題
2009/06/18 15:05
本石町日記
経済 政治 のブログで、勉強になる お薦めのブログを 教えてください。出来たら 携... 経済 政治 のブログで、勉強になる お薦めのブログを 教えてください。出来たら 携帯対応のブログでお願いします。(続きを読む) 本石町日記 : 正社員は長期雇用を享受するのか=私的な労働観です 本石町日記のbank.of.japanさんが、「正社員は長期雇用を享受するのか=私的な労働観です」で、こう質問されています。...more. Commented at 2009-05-21 00:34 x. ブ... ...続きを見る
業界情報まるわかり!速報ニュースtoda...
2009/07/09 19:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
私のエントリーでお借りしました。国債を買っても全体のシェアでは小さい、というのは財政マネタイズではないことの一つの論拠になっているようで、アトランタ連銀ブログも同様の見解を示していました。FED版『銀行券ルール』でしょうか。
 国債買入でジンバブエ化を覚悟するほど切迫していた理由を知りたいところですね。
本石町日記
2009/06/10 00:23
本石町日記さん、お取り上げいただき恐縮です。どうも当局者の一連のコメントを見ると、FEDが国債買い切りについて全く腰が座っていないという感じを受けますね。
厭債害債
2009/06/10 06:02
敵対的米国債保有国の景気回復。
米国債の財政誇張による需給悪化懸念。
民主党政権への信任。
質への逃避のゆれもどし。
景気回復期待への時間的格差。
投機マネーの復活。
米経済よりいち早く復活したIBの仕掛け。
でもそんなに急騰してないですよね。いわゆる歴史的に見れば、なんといっても100年に一度といわれた期待からのゆれ戻しと見ればですが。でなければドルにつぐ国債通貨論の再燃。何回も見た局面です。
かる
2009/06/12 00:01
かるさん、どうもです。たしかにシクリカルなものと割り切ってしまえば風景もそのように感じることがありますね。政治はつねに駆け引きですし。
厭債害債
2009/06/19 08:50

コメントする help

ニックネーム
本 文
NY Fedダドレー総裁のインタビュー 厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる