厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 米国金融規制法と格付けをめぐるドタバタ劇

<<   作成日時 : 2010/07/23 11:32   >>

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WSJによりますと、格付け会社が証券業者に対して募集書類上格付利用を当面使用を見合わせるようコメントを出して話題になっています。背景には、今週成立した金融改革法(いわゆるドッド−フランク法)の中に、格付け会社が法で定められた募集書類のなかで述べた格付け意見について、ありていに言えばその結果(たぶん具体的には投資適格といわれる格付けをつけた債券が最終的に支払い不能に陥るなど)について法的責任を問われる内容が盛り込まれたと言うことがあります。

http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704723604575379650414337676.html?KEYWORDS=bond+sales

米国のルールでは、特にアセットバックの公募債券については格付けの取得が義務付けられているようであり、それらは当然目論見書などの書類にも記載されるのが普通です。ところが今後はそれを記載したあと債券が変なことになってしまったら、格付け会社が損害賠償責任を負わされる可能性が出てきました。一種の製造物責任的な要素が格付け会社に課されたということです。もっともこれまでだって、その気になれば訴えることもできたのでしょうけれど、これまで市場や当局も含めた公式の立場は格付け会社が出す格付けなりコメントは単なる「意見表明」であり、明らかな捏造や事実を曲げた内容ででもなければ、表現の自由によって保護されたものでした。しかしながら、今後は少なくとも一部の証券については、そういういいわけができなくなったと言うことです。


問題は、当然のことながら、格付け会社のほうが自己防衛のために動くと言うことで、それが最初に書いたような格付け不使用要請につながります。法律で格付けを要求される証券についても格付けを出さなくなるということは、そのカテゴリーの証券発行がストップしてしまうと言うことです。住宅、カード、自動車といった分野でお金の流れが滞る事態を招きかねません。新聞記事によれば、こうした規制はそもそも法案の最初の案には入っておらず、6月末になって突然この変化が盛り込まれたとの事。それだけに格付け会社が強く反発して事実上のストライキを巻き起こしたと言うことでしょう。

事態を重視したSECは、当面の間(6ヶ月間)募集書類に格付けがない状態での証券発行を認めるというおふれをだしました。しかし今のところルールを変えるつもりはなく、6ヶ月間を当事者が変化に順応するための「移行期間」と位置づけています。

http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704421304575383643223013802.html?KEYWORDS=bond+sales

米国にとってABS(資産担保証券)市場は金融の流動性を担保する非常に重要なツールであり、これの流れを止めることは、かなり重大な結果を引き起こすわけで、この事件はかえって格付け会社が現実に持ってしまった力を改めて認識させる結果と成ったと思います。今後6ヶ月の間にどのように現実に落とし込んでいくのか、興味深いところですが、正直、こんなことすらきちんとつめないで成立させた法律ってどうよ、とか思ってしまいました。

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コメント(6件)

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格付け会社に、もっと責任持てよ、と言いたい議員さんの気持ちも分かりますが、それなら対抗策を採らせてもらいます、という格付け会社のリアクションもこれまた当然ですね(^^)

しかし、どうやって折り合いをつけさせるつもりなんだろう?まさか公的なところが格付けをする?将来はともかく、6ヶ月で準備するのは無理ですよねえ・・・
40歳無職
2010/07/24 07:58
しかし格付けが仕事の格付け会社が「うちの格付け使わないでください」って仕事放棄ですよね(笑)。まあ突然作った条項とか結構ありそうですし、全文読むと「なにこれ?」条項がたくさん含まれるのが米国法律くおりてぃだと個人的に思ってますけど、、。
ただ、ほんとにこれでABSとか急減速してしまうと、せっかく底打ちした風にみえる不動産市場、2番底どころじゃなく底割れしてしまいそうですけど、、、。
ttori
2010/07/24 20:44
40歳無職さんどうもです。格付けを公的規制の一要素としてしまった段階で、格付けという業務は公的業務とならざるを得なかったのだと思います。今はその矛盾に苦しんでいる状況でしょうね。

ttoriさんどうもです。規制というのは大体において波及効果とかあまり考えないでやってしまうものですよね。日本の貸金業法とかもその典型でしょうけれど。
厭債害債
2010/07/26 23:54
金融的な趣向において証券化はスゴー久おいしい商売であります。米国における金融危機において発端は過去のも現在においても、根っこは一緒です。で日本でも同じ多分これから中国でも同じでしょう。これを隠蔽化
するために証券化という手法がとられますが、所詮隠蔽化なのでタイムラグを伴って崩壊します。ラストリゾートとして不動産が証券化されたときにバブルは崩壊します。お忘れの方、忘れた振りをしている、市場関係者の方はヨーク考えてというか、反省しましょう。では。そういう意味では収益資産としては、日本の不動産は株式同様に買い時
インカムゲインとしていい水準です。既に日本企業は米国同様、国内需要を見放して大半の上場企業は海外を最大の収益先としているので、アメリカ同様に企業は儲かっても、国内政府赤字なので、今こそ輸出企業でなくグローバル企業を買いましょう。ソブリンはだめですが。
karu
2010/07/29 01:22
karuさんどうもです。おっしゃるとおり証券化は場合によっては隠蔽につながりますが、不動産はなかなか表に出にくいですね。証券化に拠って「流動性」はましましたが、本質的な収益性への考慮を見失った結果が先ごろのバブルということでしょうね。グローバル企業の買いはワタクシも賛成です。
厭債害債
2010/07/30 11:50
他人事のようですが、日本法の証券化の位置づけに問題なしですか。
格付が目論見書必要記載事項とされていても、33年証券法ルール436(g)は格付機関の「専門家」責任を免責し、同様の記載の監査人とは扱いが違います。
投資家は目論見書記載の「専門家」の意見に対して、訴を提起できる請求原因を有しますが、格付機関に対しては、436(g)が責任免除し証券法上訴権が認められない。
どんな業種のどんな商品であれ、利用者が瑕疵ある製品で損害を受ければ訴えを提起でき、それを排除されない。
これではCalPERSは格付機関を共同被告として提訴できない。証券法は格付機関を責任ある「専門家」から排除してきたが、改革法で責任「専門家」の位置づけとなった。
日本の格付は訴を受けますか、それとも責任のない記号に寄りかかっても安心ですか。
頼ったあなたの判断に注意義務違反の責めが求められだけ。
ron
2010/08/03 16:14

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