厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 電気料金不払いの論理

<<   作成日時 : 2012/05/07 02:04   >>

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http://blogos.com/article/38185/

リンクが切れることを考えてちょっと文章抜粋して引用させていただきます。()の見出しはワタクシがつけました。またお名前はあえて削除させていただいています。

(不払いの思想とこれまでの活動)
「電気に反対なのではなく、原発(の電気)に反対なんです。最初は原発の電気分だけ払うまいと思っていたが、東京電力の不誠実な事故・賠償対応を見ていると、電気代そのものを払う気になれません」

 昨年10月から東電の電気代滞納・不払い運動を始め、「1万人達成」を目指してネットやチラシを撒いている。実生活でも、電気使用量を最小限に抑えるため、契約アンペアを10アンペアまで下げた。炊飯器、テレビは使わず、冬場は冷蔵庫無しの生活だ。お米はガスの圧力鍋で炊いている。

(支払い拒否のやり方)
「(1)「口座振替」をやめ「振込用紙払い」にする。
電気の領収書に書いてある番号に電話すれば、すぐに変更できる。
(約52円の「口座振替割引」が無くなるが、ここは思い切って契約アンペアを下げて基本料金を下げる)

(2)支払用紙が届いたら郵便局ATMに行き、「金額の確認」の画面で「訂正」ボタンを押し、自分で決めた金額(請求額より1円少ない額)を払う。1円でも支払えば、滞納料金が発生しない。その際、支払い用紙に一言メッセージを添える。

(3)残金の請求書がくるので、電気が切られる前に支払う。あるいは、集金に来る社員と交渉をして支払いを先送りする。」

(不払いする方の考え方)
「こうすれば、電力会社の会計に売掛金(未収金)を増やし、催促コストをかけさせることになる。直接意見を言う事で、原発反対の強い意志を伝える事もできる。面と向かって文句を言わなくても出来ることなので、デモへの参加が難しい人でも、こっそりと出来る。利点は多い」。




なかなか面白いことをする方がいるもんだ、と思いました。

文章を読む限り、できるだけ節電しようとはしているようです。まあできるだけややこしい電気への依存度を避けて原発不要説を盛り上げるのは納得できます。ただわれわれだって節電しているので、その点は我々とあまり大きな違いは無いと思います。というか、結局のところ電気を止められないように策をとっているし、最後は支払っているみたいだから、結局のところ電気は継続的に使っているし、社会生活を送る上でこの人が使っているATMだって電気で動いているわけで、広い意味で使わざるを得ない。その点我々と何ら違いは無い。我々との違いは1円の不払いだけ。つまりこれは単なる「嫌がらせ」です。嫌がらせをやるのは東京電力という会社が憎いからだろうと思います。どうして憎いのでしょうか。全部の原発の廃炉がまだ決まっていないとかということでしょうか?これだけ迷惑をかけてまだ反省が足りないとかいうことでしょうか?

まあ、人の気持ちは色々あって当然ですし、この方の気持ちも理解できなくはないのです。東京電力にも責められる点は多々あるかとおもいます。文句を言う人がいるのも当然かもしれませんし、ああいう事故を起こしたのですから文句を言う権利はみんなにあります。が、やり方としては個人的にはあまり感心しません。単に東京電力の事務負荷を増やして、貴重な人的リソースを失わせているとしか思えないからです。たしかに、延滞利息はそれなりのものを取っているから延滞利息を払っているならいいじゃないかとも言えそうです(記事の内容通りだとすると、1カ月あたり0.8%ぐらいだから年率約10%ぐらいになってしまう。)しかし今の東京電力は資金調達にも困る状況だし、そもそも延滞の処理やら集金員のコストやらそういったものが余計にかかることで値上げの根拠が増えるはず。値上げされたらその分は一般の善良な利用者にのしかかります。わずかだけれど。本人も堂々と「売掛金(未収金)を増やし、督促コストをかけさせる」と述べているようでコストをかけるという意識はあるようです。しかし、こういうことを積極的に推進することで結果的にとばっちりを受ける大多数の善良な利用者の事は頭にはないようです。

何よりも困ったのは、1円の不払いで「原発分払っていない」気持ちになっていることで、それをいうなら、原発が止まった現在、ちゃんと払ってるんでしょうか?記事の日付や内容から見る限りそうでもないようですね。また、既存の発電割合で計算するならもっと不払い金額を増やさなければ。(2008年で26%ぐらいでしょうか?)。廃炉費用まで考えたら、1円も払ってはいけないんでは?それに、そもそも原発で作られた電気を区別はできないと思いますよ。結局のところ量が少なくても原発で作った電気を使っていることに変わりはありません。

こまったのは、記事を書いている人も同じで堂々と「東電を困らせる方法」として勧めていることです。憎たらしいから困らせる。子どもじゃあるまいし、こういう人々はもう少し建設的なことはできないのでしょうか?困らせてどうするんでしょうか?市川房江さんの1円不払いの時代は東電が自分でぶいぶい言わせていたときで、嫌がらせでも彼らが反応することで主張が通ったこともあったかもしれません。しかし今の東電は「実質債務超過」とまで言われていて彼らには事実上強い決定権はありません。そういう主体にこういう嫌がらせをしてもあまり意味はないと思います。

本気で戦うなら「不買運動」です。契約を打ち切ってその他のエネルギーで生きるとか、そこまでやれば意味があります。同じようなことをやっているつもりかもしれませんが、たとえばあるメーカーの製品の不買運動をやるのに、直接会社のネットショップで注文して商品を取り寄せてから1円少ない金額を確信犯的に払い込むなら、それは犯罪に近いのです。ご本人はそこまでやっている意識はないのですが、契約をしたうえで払わないといっているので、同じことです。電力会社が「独占」であることは、彼にとって代替手段がないという意味で正当化の理由の一つなのかもしれませんが、やはり本気で対抗する気合も根性もないのなら、このような嫌がらせをするのは単なる迷惑行為です。国家権力うんぬんとかいうのは明らかに筋違いで、権力を相手にするつもりなら、はじめから権力を相手にしてほしいし、独占の弊害を経済産業省とやりあってほしいと思います。繰り返しになりますが、東京電力への嫌がらせは一般利用者の迷惑になります。「困らせる」ための行為を正当化するなら、電線切ったりするのも正当化されます(こっちは明らかな犯罪ですが)。

誤解を避けるために言えば、「電力を使いながら文句を言う」こと自体は全く問題ないと思います。デモ行進でも直接苦情の手紙を送り付けるのでもなんでもありだと思います。さっきも言ったように「独占」ですし、一方で電力は生活のかなめです。しかし、嫌がらせまでする必要がないのです。困らせることを目的にしてはいけないのであって、本当の主張である反原発(ですよね)を堂々と正当な方法で主張し続ければよいだけなのです。値上げに反対だからといってその分不払いにするのも筋は通りません。東京電力の利用者は、というか国民全体は原発事故について全く責任がないというのはおかしいと思います。事故までは明らかに推進政策をとっていて、京都議定書のハードルクリアのために原発依存の議論をしていたのです。そして許認可事業である電力会社はその国策に従って原発の計画を実施していたわけです。以前にも書いたことがありますが、その政府を選んだのは「民主主義国」の日本国民ですから。民主主義でどうしても自分がその結論を受け入れられないならその集団から離脱するしかありません。それをしないで自分は責任がないとはとてもおこがましくて言えないでしょう。そのことを自覚したうえでそれでも今後のことを考えて脱原発や反原発はありですが、そのことを自覚しない運動は政治の決定過程に働き掛ける迫力に欠けるし、本当の問題から却って目をそむけさせる結果にしかならないこともあります。たとえば「原発事故を二度と起こさないための手段(含む脱原発)」がきちんと議論されるべきなのに「電力会社はけしからんから値上げはけしからん」という矮小化された議論になってしまうことがその一例です。

個人的には今は原発そのものに対してはまだいろいろ考えがまとまりません。一旦ああいう事態を見せつけられた以上、危険だから絶対だめという意見も一理あるし、電力が必要で今の経済状況をさらに悪化させないためにも当面再稼働させて対策をそれから考えるという意見もありだと思います。個人的には後者に近いですが、それは結局のところ不可知であることを理由にリスクを抱えて問題を先送りしているだけとも言えます。そのことを認識したうえでやるべきであることは当然です。

しかし電力を今すぐ止めてもいいとかいう思想は、それに伴って生ずる弊害を考えれば、非現実的ですし、同様に東京電力を潰して国家管理にするのなら、東電の負担すべき賠償金やコストを国民が税金で負担する覚悟が必要です。税金はおそらく全国の国民が負担します。関東の人々だけではない。東電の値上げで関東の人々が負担するのとどちらが公平でしょうか?この点も良く考えるべきだと思います。つまり「国策」として推進してきた原子力政策のこれまでの結果(電力依存型の社会)やいろいろな現実との折り合いをつけていかなければならないことが多すぎるし、やはりそれをみんなが自らの現実の問題として真剣に考える時間が必要だと思いますし、それまでの間は多少の我慢はしてもあまり変わらない社会生活を継続していく必要があります。そのためには電力会社は、東電はちょっと別としても、原則的に事業を継続しつつ次の姿を考えていく必要があります。不払いの論理は、少なくともここでは、東電はつぶれて良し、というか国家管理にせよ、という議論につながるはずですが、そのこと自体いままさに多くの人々が最適解を求めている段階であり、この記事にあるような人々が深い考えもなしに愉快犯的に実行するべき性質のものではありません。最近憂うべきは、議論が極端に走りすぎていて現実的な解を求める気があまり見えなかったり、議論や運動そのものを楽しんでしまっている人がいたりいるように見えることです。そしてその過程でちょっとこういう子供じみた人々の行動まで市民権を得始めることです。

昔であれば、こういう人々は近所のちょっと変わったおっさんという扱いで、みんな距離を置いてつきあうことで済まされていたはずですが、いまはこういうふうに取り上げられてしまうのですね。記事を書いた人の論調を読む限り、自分の考えがもはや時代遅れになっているようにも感じます。すこし長く生きすぎたのかもしれませんね。

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
おっしゃる通りだと思います。ただ民主主義については逆も言えるのかもしれません。私は大阪府民で豊中市民ですが、今の大阪市長の橋下氏の反原発発言については文句を言えても、大阪府の態度については、ある程度責任を持たねばならないのでしょうか。まあここは一度停電か何か起きて原発ヒステリーを起こしている方々の頭を冷やさねばならないのかもしれませんが。
周平
2012/05/07 08:21

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