厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2012/11/29 10:46   >>

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ここ数日、アルゼンチンに関して再びデフォルトか、という騒ぎになっているようです。

数日前に、以前のデフォルトの時に債務再編に応じなかった債権者に対し、アメリカの連邦地裁が平等に扱うようにという判決を出したことが問題のきっかけ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MDVG2Q6S972Y01.html
早い話がこれを受けてアルゼンチンはすべての支払いを止めようとしているわけで、払わなければならないものをはらわなければデフォルトですね。

もともと債務再編に応じなかったのはヘッジファンドの一部でありまして、彼らはもちろん法律や発行要綱などをしっかりと読み込んだうえで勝ち目があると考えてやっていた。その結果が今回の地裁判決につながったわけです。2001年のデフォルトの時多くの債権者は債務再編に応じた(日本の方々も結構損したはず)のですが、この債券にはCAC条項がはいっておらず、債務再編の交渉結果をすべての債権者に法的に強制できる根拠がない。したがって法的にはおそらくヘッジファンドの主張は根拠がありそうに思います。

判決の詳細を読んでいないので(すみません無責任で)アレなのですが、全額払えと言っているのか、ほかの債権者と平等の割合で払えと言っているのか、というところはいまいちはっきりしませんが、おそらく後者ではないでしょうか?そもそもアルゼンチンはこうした「ハゲタカ」には一ドルも払わないと言って争ってきたわけです。再編への協力を拒否してもほかの債権者と平等に払ってもらえるのであれば、事実上ヘッジファンドたちの勝ち(全額請求のオプションを持ちながら最悪でも平等の支払いを受けられたことになる)ということでしょう。

もともとデフォルト常習犯であり、そもそも金にだらしのない国であることはもう公知の事実というかなんというか、まあアレなんですが、いろいろ通貨のドル化とかいろいろ無茶もする芸風は相変わらずです。まあそういうところにリスクをとってお金を出す方も実態的にはどっちもどっちなわけですね。今回に関しては、法律論はともかくとして個人的にはアルゼンチンの肩を持ちたい気持ちです。

その辺の事情は下のFTの社説(日経の翻訳記事から引用させていただきます)がよく語ってくれていると思います。

「大半の投資家の同意をもとに強制的に債務を削減する「集団行動条項(CAC)」がもともとのアルゼンチン国債に盛り込まれていれば、こうした事態は避けられたかもしれない。しかし同国債にCACは付与されていない。米国法に基づき発行されたため、アルゼンチン政府が立法措置で変更することはできない。

 同国政府は「法的な植民地主義」とグリーサ判事を批判している。判事は法律を適用しただけであり、この批判はばかげている。ただ、今回の判断が世界の国債市場にとって厄介な意味を持っているのは確かだ。多くの国はCACを付けずに外国法に基づいた国債を発行してきた。デフォルトとなれば秩序ある債務再編によってのみ事態を進めることができるが、もしグリーサ判事の判断が前例となれば、再編に応じない1人の債権者が国債発行者を永久に市場から追放できるようになる。」

グリーサ判事というのは上記の判決を出した米国連邦地裁の判事です。彼は不当にヘッジファンドの味方をしたわけでもなく、法律や契約に忠実にいけばまあこういう判決も可能であろうと思います。

ただ、今は欧州でもそれ以外の新興国でも同様のことはいくらでも起こりうる状況です。記事にあるように、過去のCAC条項のない債券で同じようなことが認められるとなると、再編と再生がほとんど進まなくなるリスクがあります。

アルゼンチンは判決に対して上訴し、連邦高裁は地裁判決の執行を停止しました。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME80IU6K50YE01.html
アルゼンチンの主張をとりあえず認めた形になりますが、もちろん本案の最終決定ではなく一種の執行停止仮処分のようなものでしょう。
2月に当事者から話を聞くことになっているようで、問題をかなり時間をとって先送りした感じではありますが、それだけこのテーマが重大だということになります。

繰り返しになりますが、実定的な法律論としては難しいところですが、いまの世界が置かれている状況を考えると、結論的にはリスクをあえてとっていたヘッジファンドに泣いてもらうというのもむしろ平等の観点(どちらかというと衡平法の世界でしょうか)からは納得感がありそうな気がしますが、どうでしょうか?

とはいえ、もちろんお金を借りてケツをまくって返さない方が悪いことは言うまでもありませんので、よい子の皆さんは借りたお金はきちんと返しましょうね。

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内 容 ニックネーム/日時
アルゼンチンのデフォルトから10年以上が経ちましたが鵺の様な話が出て来ました。この話題はきっと厭債害債さんが話題にして下さると思っておりました。あの時はエンロンの破綻で○興証券のMMFが額面割れした直後のアルゼンチン・サムライ債のデフォルトで直撃を受けられた健康保険組合の幹部が数名辞任されたのを思い出しました。今回の判決を下した判事は「純粋に法解釈をした結果」と述べており、下級審の判断としてはそれで正しいのだと思います。立法主旨と社会的な影響が正しく反映されているかの判断は上級審の役割でしょう。不肖欧州駐在として些か残念なのは対象のヘッジファンドがギリシャ国債の買戻しプログラムにも相当絡んでいると思われ、EU当局が彼らを利すると解って居ながらドイツの総選挙に配慮してむざむざ経済合理性に欠ける方策に踏み込んで行こうとしている事です。本当に英国に住んでいて良かったと思いました。
欧州駐在@大変ごぶさたして居ります
2012/12/02 06:02

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