厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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<<   作成日時 : 2014/05/20 19:36   >>

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日経の社会面でPアセットさんの商品が問題になっているとか書いてありました。ただしこの件自体は説明不十分ですでに行政処分の対象にはなっているようです。今回新聞が改めて取り上げたのは、実際の年金の損失をクローズアップさせたということと、そろそろ訴訟によって表ざたになりそうだというそういうことなんでしょうか。

ずいぶん前に、この商品について書いたことがあります。要するに生命保険契約のセカンダリーマーケットで保険金受け取り権を購入し(前にも書いた通り日本ではまだ認められない)それを証券化しているものと考えられます。したがって想定キャッシュフロー(死亡保険金、養老の場合満期保険金など)はありていにいえば原保険の被保険者が「いつ死ぬのか」にかかってくる。商品の作り方にもよりますが、単純に作るなら、(ファンド運用期間における保険料の残りの想定払い込み総額+保険契約買い取りコスト)がファンド運用期間における想定受け取り保険金額より(リスクの要素を考慮しても)少なくなるようなそういうポートフォリオを作るわけです。

しかしながらいうまでもなく、個々の保険の被保険者には個別性が極めて強い。だからこそ「大数の法則」が働くように保険会社のビジネスとしては一定量以上の契約を集める必要がある。それができない場合は自分のところでリスクを引き受けられないケースがあり、「再保険」などの仕組みを使って外の世界の「大数の法則」が働く世界にリスクを移転する。まあそういった形になるわけです。ところがこういうファンドではまあ私が詳しく知らないだけだと思いますが、そういった保険契約の個別性に関するリスクというか大数の法則が働かないリスク、もっといえば保険契約を売る側からみた一種の逆選択リスクというのがどこまで考慮されていたのかということです。つまり、保険契約を転売する側は言い方は悪いけれど「死ぬ死ぬ詐欺」みたいなことをして、自分は最近初期のがんが見つかったけれど金がないから将来の保険金受領権を売りたいとか言ってライフ・セトルメントの会社に近づくわけですが、人は頑張ればなかなか死なないし、そもそもそうやって受け取ったお金でいい治療をしたら生き延びてしまうということもないとは言えず、なかなかリスクが高いと思うわけです。いわばリスクの濃縮が起こりやすい。こうした濃縮されたリスクに対しライフセトルメントファンドというのは一種の「再保険」を引き受けているに等しい。

普通は再保険会社は高度な数理的基礎とデータとシステムを有し、それでもいまだに保険数理上料率を算定することが難しいケースが多いと聞きます。同じこと以上の仕組みをこうしたライフセトルメントファンドが作ることができているのかどうか?という点が非常に疑問なので、以前にもかなりリスクが高いと申し上げたところです。

一方リスクの投資家に対する説明ですが、ファンドの日本語の目論見書には以下の通りあります。

「ユーロドル債の原資産である外国投資証券に関する主なリスク
(1)予想生存期間と実際生存期間の乖離リスク(長寿リスク)
ライフ・セトルメントでは、生命保険契約の売買にあたり、当該生命保険契約の被保険者の余命期間を予想します(予想生存期間)。生命保険契約の売買金額は、この予想生存期間をもとに投資家(生命保険契約の購入希望者)の期待利回り(内部投資収益率)から算出しますが、予想生存期間より、実際の生存期間が長くなった場合、内部投資収益率は低下することとなり、当ファンドの基準価額が下落する要因となります。」

当該ファンドと思われるPアセットさんの目論見書に書かれているライフ・セトルメントそのものの商品性にかかるリスクは(流動性に関するものは除き)これだけ。本当にこれだけでリスク特性がわかるのか?もちろん別の販売資料ではちゃんと説明されているのだろうけれど。想定余命よりその群団の実際の余命が長くなれば損失を被る、というのですが、その減り方は定期保険か終身保険か養老保険かによって全く違ってくるだろうし、そういった説明は十分にされていたのかなぁ?きっと原資産ファンドの運用会社がブラックボックス的に勝手にいろいろ入れ替えるような仕組みのような気がするし、本来ライフ・セトルメントのリスク評価ってもっと複雑なような気がするんだけれど。推測だけでものを言っちゃあいけないのは百も承知で、なぜこんなに短期間で全損となるのか、そのへん仕組みをご存知の方がいたら教えていただけるとありがたいです。

それにしてもLife is short! なんですね。寿命の長期化が価格下落リスクとなる。誰かもどこかで書いておられたけれど、人々の長生きを支える年金が人の寿命が短くなることで利益を得る商品に投資するというのは、倫理的な面を除いても、リスクとしてはレバレッジをかける方向に行っているような気がするんですけれど。(もちろん対象は海外の生命保険なので寿命の対象が異なるといわれればそれまでですが)。これは(もちろん買う側にも責任はあるけれど)売った側の責任というか倫理というか哲学というか、そういうものをもっと詰めてもらいたいなぁと心から思う次第です。

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