厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS 集団的自衛権をめぐる憲法論議

<<   作成日時 : 2015/06/12 08:39   >>

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以前に東日本大震災の際には枝野さん(当時政権側にあった)のことをぼろくそに書いたのですが、今回の高村さんとの憲法論議では、枝野さんのほうに分があるように思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150611-00000114-mai-pol
高村さんが砂川判決の判決文を引き合いにして「集団的自衛権と個別自衛権を区別していない」とし、それを根拠に集団的自衛権も否定されていないと立論するのは、法律でいうところのレーシオ・デシデンダイ(真の判決理由)とオビタ・ディクタ(傍論)とを区別していないことになり、法律を多少でも学んだ人なら、まずいよねぇ、と思うでしょう。

砂川事件(判決)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6
とは1957年ごろ東京立川の近郊で米軍基地拡張がらみの測量を契機に起こった、反戦活動家と機動隊などとの衝突事件です。憲法を学んだ人間なら必ず目にするであろう判例です。争われた論点は非常に多岐にわたるのですが、憲法問題としては、基地敷設の根拠となる日米安保条約、米軍地位協定が憲法9条などに反するのではないかというのが主な論点でした。最終的に最高裁はいわゆる「統治行為論」をとってこれらの憲法判断をせず、通常の刑罰法規上の問題として処理しています。

したがって砂川判決を集団的自衛権の合憲の根拠として持ち出すのは無理があります。砂川判決をみて法律を学んだ人がいえることは、「高度な政治的判断にかかるものと考えて憲法判断を回避した」というその一点のみです。それ以外の判決理由で何を書いてあろうが、将来の決定において「参考になる」程度であり、憲法解釈の最高機関である最高裁の判断として用いることはできないのです。(むしろ本件下級審ではこれも有名な伊達判決(裁判長が伊達さん)で1審では明確に米軍の駐留を許可していることを「戦力の保持」にあたるとして憲法9条違反の認定をしています。まあこれはこれでやりすぎですが)。

「個別自衛権」は主権国家固有の権利として認められている、という点はおそらくほとんど異論はないでしょう。まさに砂川判決でも判決文で語られているところです。にもかかかわらず「統治行為論」に逃げたというのはそもそも砂川事件が当然のことながら個別自衛権の枠をはみ出しているからです。考えようによっては個別自衛権の枠を超えたらやはり憲法解釈上「違憲」とせざるを得なかったからそのような逃げに走ったということかもしれません。ちなみに、この時の最高裁の裁判長は田中耕太郎先生で国際司法裁判所の判事を経験され「世界法の理論」などの著作もある国際法の大家です。先生は一般的にリベラルの側にあったとも思われますし、いずれにしてもこの判決から集団的自衛権は否定されていないと立論するのはやはり無理があると思います。

もちろん高村さんぐらいの人ですから上に書いたようなことはすべてご存知のうえで語っておられるのだと思います。逆に言うと、それぐらい現在の政権側のロジックは苦しくなってきているのかなぁとも思いました。

なお誤解を避けるために言えば、私自身は改憲派です。憲法9条を改正すべきだと思っています。ただ、今回のように解釈で強引にやるのではなく、きちんと国民的合意を形成し、改正手続きにのっとってやらないとあとあと大変なことになると思うから、こういう形でなし崩し的に改憲することには反対です。

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