厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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zoom RSS アベノミクスとは何だったのか?

<<   作成日時 : 2016/06/26 20:37   >>

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安倍首相が目指したことはいくつかある。
デフレ脱却による景気浮揚と成長確保
そのための日銀と協力した大胆な金融緩和
それによる税収確保と構造改革
社会保障と税の一体改革とそのための消費税引き上げ

そのための三本の矢という概念が用意された
一本目は金融緩和
二本目は財政政策
三本目が成長戦略

残念ながら知らないうちに最初の三本の矢は1本目が放たれた後溶けてしまったようで、3本目の矢がとても柔らかくなってしまったらしい。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/yawaraka_seichosenryaku.pdf

評価を付けるとすると、まあ最初は人々にインパクトを与えたという意味ではよくやったかもしれない。ただし、細かい戦術ミスが重なって戦争全体としては敗色が濃厚となっている。

戦術ミスとはたとえば、インフレターゲットを2%としてそれを一定期間に「必ず」達成するとしたことだ。なにもそこまで気合を入れる必要があったのかどうか?デフレからの脱却をむしろ構造改革を通じて行っていくという風にして数値か期間かいずれを多少フレキシブルにするだけで全く違ったものになっただろう。残念ながらインフレターゲットを神の経典のようにあがめる人たちの餌食になったが、肝心の人たちは口をつぐんだまま、自分たちのアイデアが空虚なものであったことが現実に示されても誰一人責任を取ろうとしていない。

また、日銀がそのターゲットに縛られ、結果的にサプライズ重視になったことも非常に罪が重い。奇襲作戦は相手の体勢を崩して一気呵成に攻め込むか有利な講和に持ち込むか、とにかく短期的なゴール(出口)をきちんと想定してから行うべきなのに、それを行っていない。もともと、為替や株価に依存した景気浮揚は一時的であり、それは単なる時間稼ぎであり、その後の展開をきちんと描けてからでなければ本来やってはならないことで、案の定米国からは為替操作国とまで言われて身動きが取れなくなった。気分を良くした効果は認めるものの、戦術におぼれそういう戦い全体を見通した戦略が不足している。

もう一つ致命的な問題は、作戦の取捨選択を誤っているということである。具体的に言えば東京オリンピック。やるとしたら徹底的な収支計算をしておくべきなのだが、どう考えても無駄な施設や投資が増えて財政にとって悪化要因でしかない。それに伴う将来の税収増は全く見込めない。同じく老人等に対する手厚すぎる保障。それらについては税と社会保障の一体改革のなかで常に消費税引き上げとセットで語るべきであった。無駄な軽減税率の議論で時間を浪費して政治家たちの知的レベルに国民は大きく失望した。結果的に消費税引き上げを2年半も延期するという。つまりこの政権の間、老人にばらまき無駄な箱ものに多額の投資を決め、結局その財源は不安定あるいは手当てされていない状況となる。もはや政策変更というレベルではなく、安倍政権のスタートに立ち返った失敗を認めざるを得ない。

ワタクシは消費税は予定通り上げるべきだったと思う。それは一つは、国民が決めたことだから。それを前提に総選挙で票を入れた。税金が上がれば景気が悪くなるのはわかっているが、それでも将来を考えたら必要だし、だから当面は確保した財源で福祉に回してバランスをとるというのが日本国民が支持した考えである。だから自民党が支持された。それを自分の無茶な政策が行き詰ったから撤回するというのはあり得ないし、リーマンショックレベルの経済危機でもないしこれまでの説明と大いに齟齬がある。

悲しいことに日本には対抗する野党がいない。安倍政権はそれを人質に取っている。国民にもまだかつての民主党政権時代の様々な悲劇(多くは2名の党首の個性によるところが多かったと思うが)が脳裏に深く刻み込まれており、野党に投票することがトラウマになっている人もいると思う。そのおかげで幸か不幸か総選挙もない。

自民党は「責任政党」という言葉を良く使っていた。責任政党であれば、その総裁でありかつ首相である安倍氏は「責任ある行動」が求められる。法律を守る、言ったことを守る、リーマンとか妙な詭弁で人気取りに走らない。そういう責任ある行動が求められる。
アベノミクスのミスはまあ考えが足りなかったということで許してもいい。しかし、国民が将来のことを考えて信託した増税と改革をセットで行うことについて、やらないのなら辞職すべきである。

アベノミクスとは何だったのか?結局見えてくるのは、安倍首相が本当に日本のことを考えてではなく、個人的な思想や理念をゴールにしそれを実現するための人気取りを行ってきた、ということではなかろうか? 三本の矢のゴールは本来三本目にあったが、いまだに全く見えないままだ。消費税増税とバーターの一本目の矢はもはや全く期待できない。3本の矢が溶け出しながら、財政出動だけがくっきりと浮かび上がり、日本の姿が次第に異形となっていくさまが想像される。

オバマ大統領の広島訪問はたしかに歴史的な評価を与えられるべきだが、別に安倍政権でなくてもたまたま米国大統領が基本的に核廃絶提唱しそれで名を残そうとするオバマさんだったから実現したということだろう。安倍政権下で上げた業績を全面的に否定するものではないが、やはりいろいろな意味でちょっとずれてしまったことは否めないと思う。


英国の国民投票は金融に携わる者には残念な結果だが民主主義を受け入れるならやむを得ない。ただし国民が間違うこともある。

アベノミクスはある意味国民が間違う例のひとつだが、やはり「民主主義は最悪の体制だ。他のすべての体制を除いては。」を正しく噛み締める時だろう。

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