貯蓄性保険の販売停止

厳密に言うと一時払い貯蓄性保険の話です。
別に今に始まったことではなく、金利が低いときは逆に貯蓄性商品(一時払い終身など)の人気が高まるので、放っておくと販売員が勝手に売りまくって後々大変なことになります。リスク管理の問題としては売り止めにするのは当然のことです。(月払いなど平準払いはリスクは少ないと思われがちですが、実は予定利率を約束しているという面では運用リスクはなお大きいです)

かつて円高後の金融緩和時代に、保険会社が競って一時払い養老などの貯蓄性商品で「利回り競争」をやった時代がありました。当時は簡保が政府のバックアップで利回り競争に参加しており、民間保険はそれとの競争を「強いられた」面もあると思いますが、少なくとも「リスク管理」はなってなかった。だからその後、こうした負債の重みに耐えかねて運用で無理をして金融危機の時に破綻する生保が続出したわけです。いまはその時の教訓があるので、相当気をつけているはずです。そのうえソルベンシーマージン(旧基準)500%レベルで破たんしたところも出てきたため、金融庁がソルベンシ-マージンの算出ルールを変更、事実上リスク係数をほぼ2倍にしたため、いま目にしている生保のソルベンシーマージンは旧基準ではその倍ぐらいの数字になっていたはずで、旧基準だと2000%台の会社だらけです、その意味ではずいぶん健全性という点では安心して見ていられる水準だと思います。

ただ、これまでにも何度も書いてきましたが、金融市場のリスクというのは静的に把握できるものだけではなく動的なものもあり、そちらのほうが予測の部分が大きいため怖いといえば怖いのです。たとえば、金利が上昇した時の顧客行動。これまであまり大きな金利上昇局面がなかったということもあり、データの蓄積が十分ではないし、その時に市場にある商品もその時々で異なっている。今後長期金利が上昇した場合、たとえば予定利率0%台で貯蓄性商品に加入したお客さんが解約をどれぐらいするのか、その解約したお金をどうもっていくのか、それが金融市場にどのような影響を与えるのかなどは実際のところよくわからないのが実情です、。

その予測困難なしかもきっと生じるであろう事態にたいし、その時に生じる必要な支払い資金をどうするか、保険料の見合いで購入した国債等は、金利が上昇しているのだから値下がりしているはずだが、その売却損はどれぐらいになるのか、その時の資本に与える影響はどの程度か?などといったテーマを検討しなければなりません。

逆ザヤではないということはリスクがないということを意味しません。それは上記のような動的な部分が残るからです。
したがって保険会社としてリスク管理として貯蓄性商品の売り止めに出るのは金利が極端に低くなり(つまり更なる低下リスクも少なく上昇リスクが青天井で)リスクのみが大きく目立つ場合、当然の行動となるわけです。

一方では、国策としてのポートフォリオリバランス政策の一環として生保を含む金融機関に対し資産運用面ではもっと「リスク」をとるような指導がなされています。運用リスクの高い株や外国証券や低信用融資などを増やしていけということですが、実は金利というファクターに対しては、同じ方向でリスクが拡大するのでは?と考えられ、このタイミングで運用リスクテイクの拡大を力づくで金融機関に迫ることは、システム的なリスクを高めることになりはしないか、とちょっと懸念する次第です。

まあ景気拡大(需要拡大)で金利が上がるならいいんでしょうが、無理矢理今の政策を続けるとインフレだけ上がってしまいそうなきがして仕方ないという私の悪寒をベースにした意見ですので、まあ適当にあしらってください。


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